鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2012年10月

料金の話になるとトンと分からない。ごく大雑把に言って老健・特養なら十万以下、有料老人ホームなら安くても15万円以上、というところだろうか。さらに入居費がとられる場合が多く5百万円くらいは用意しないとならないようだ。

つまり、月収20万円以下の人は、どんなに無理をしても有料老人ホームには入れないということだ。15万以下だとグループホームも厳しい。特養か老健しかないということになる。


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(これ以上小さくすると、さすがに読めない)

これは、高齢者の収入状況を見たグラフだが、月収20万円以上の人がどのくらいいるかを見てみよう。
青・茶・モスグリーンの左側三色が20万以下、右側が20万以上ということになる。
一般世帯では7割が20万円を越える。しかし一人暮らし世帯では50%以下だ。
いまなら頭金くらいは子供たちが面倒見てくれるかもしれない。
しかし一人暮らしでは、逆立ちしても支払いは出来ない。

高齢者の半数は、在宅が不可能になったときは、特養か老健に入る以外の選択肢はないのである。


老健は医療機関から在宅への橋渡しの役割を果たす中間施設としてデザインされている。しかしそれはますます困難となっている。
なぜなら、在宅という言葉がもはや幻想となっているからである。

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25年前、単身世帯は20%だったが現在は30%を越え、20年後には40%になる。要するに日本国民の2人に1人は単身者だ。
男性の30%、女性の23%が生涯未婚で終わるとされる。これに離婚者・死別者をくわえると40%という数字がはじき出される。
まことに寒々とした光景が広がることになる。
ことに高齢者の単身世帯がすごい勢いで増えている。現在すでに、25年前の3倍に達しており、20年後の予測では15%に達する。

ここに在宅介護の成立する基盤はない。
公的にせよ私的にせよ、施設体系の中で介護を支えるしかないのである。

現在も特別養護老人ホームはまったく不足している。介護付き居住施設も、重介護には対応できず、しかもきわめて高額である。実体としてあふれた人たちは“中間”施設に滞留するしかない。


いろいろ楽しかった「佐藤さんを囲む会」の最後、佐藤さんはこういいました。

私はサンパウロ大学に入って、まず「解放の神学」の信奉者として活動をスタートさせました。軍事政権ができて、それが抑圧的な態度をとるようになり、学生が抗議運動を強めたとき、私はそれを支持して、みずからも活動に関わるようになりました。
当局の弾圧が私の身におよんだとき、私はチリに脱出して国連のラテンアメリカ経済委員会で仕事をするようになりました。まもなく私は人民連合の活動に飛び込みました。
私は「解放の神学」の信奉者から科学的社会主義の信奉者となり、チリ社会党に入党しました。
私はブラジルに戻った後、秘密活動にも関わり、ブラジル労働党(PT)の創立メンバーのひとりとなりました。
しかし、労働党の活動家の、あまりにも労働者的な活動スタイルと感覚的に“ずれ”を感じるようになり、運動野から離れたのです。そのときの私にとって、仏教は逃避するための口実だったかもしれません。
しかし、1年前にブラジルで開かれた世界社会フォーラムで殿平さんと出会い、日本に来ることができて、いろいろ学びました。その中で、もう一度社会実践に取り組まなくてはならないと教えられました。
仏教は、社会実践から逃れる場ではなく、社会実践と取り組む場なのだと感じるようになりました。
ブラジルに帰ってからもう一度考えを整理して、実践的仏教徒として再出発したいと考えています。


私は思います。それは佐藤さんにとっての“業”、カルマでしょう。おそらくそこから逃れることはできないと思います。
チリで三回も死ぬ目にあいながら、ここまで生きながらえてきたのは、いわば「天命」でしょう。ピノチェトから逃れることはできても、「縁」から逃れることはできません。苦しいが、正面から向き合うしかありません。
「連帯」とは業を紡ぐもの同士が因と縁をつなぐことなのかもしれません。
お互い、生きていたらまたお会いしましょう。

忘れないうちに書いておきたい。
佐藤さんの話で、ブラジルの政治状況について話があった。

まず特徴的なのは、ジルマ・ルセウ大統領の人気が抜群、ということだ。
いまやルーラをしのぐ支持率で、このまま行けば再選間違いなしという。
その理由を佐藤さんはこう説明している。
ルーラの支持層はそのままルセウの支持層となっている。それに加えて中間層の支持も集中している。メディアもルセウを持ち上げている。
メディアがルセウを持ち上げる理由は二つある。一つはインテリのルセウを持ち上げることで、ルーラとの離間を図ること。もう一つは、それによりルセウを再選に持ち込み、ルーラの再登場を阻止することである。
しかしこの戦術は、結果として労働党(PT)の著しい躍進をもたらしている。各自治体でも労働党の進出が目立っている。

もうひとつの特徴は、新中間層の出現だ。彼らは貧困層から抜け出したばかりで購買意欲はきわめて旺盛だ。彼らが景気を底支えしているから、リーマンショックの影響も軽くてすんだ。
新中間層は組織への帰属意識が希薄で、政治にも無関心だ。ただ彼らを持ち上げてくれたルーラへの恩義は強く感じている。つまり正義というのはもはや社会を動かす主要な動機ではなく、現世の利益が政治の駆動力となりつつある。

もうじきオリンピックがあるが、そういう意味では東京オリンピックの前の日本に似ているのかもしれない。

私の感想を付け足しておくと、国内の庶民の小状況を見れば確かにそうも言えるが、国際的な意味づけは相当異なっていると思う。
①ブラジルの現在は失われた十年と絶望の十年を経たうえでの現在であり、それらをもたらしたものとの対決を経て達成した成果であること。
②現在の方向は世界の進歩の方向と一致した発展であり、21世紀型の発展であること。
私は、このような世界的視野と歴史的観点を抜きにした近視眼的評価は、政治を見誤ることになると思う。
フィデルもそう見ている。
注意してみていかなければならないのは、アメリカとの関係である。ここが“ゆるふん”になると、一気に持っていかれる危険性がある。これはメキシコ革命の歴史を見れば分かるように、決定的なポイントである。
逆に、ラテンアメリカ諸国の団結強化の立場に立つ限り、ブラジルは心配ないと思う。
「独立ほど尊いものはない」というホーチミンの言葉を我々は今一度噛み締めるべきであろう。

ブラジリア西本願寺の佐藤さんが再び来札されたことは、前にも書いた。その後2週間ほど各地を訪問されて、最後の週末を札幌で過ごされることになった。

やはり、我々の興味はチリ・クーデターのときの体験談。「その後どうやって脱出したのですか?」とか、あのときの証言で、分からなかったことを根掘り葉掘り聞いていると、佐藤さんは突然、「あの話には続きがあるんだ」と言い出した。 「死にかけたのはあれ1回ではない」と佐藤さんは語る。

私が死を覚悟したのは、実は3回ありました。 このあいだお話したのは、その1回目のことです。

あれは11日の夜から、12日の未明にかけてのことでした。その後私は家に戻り、脱出の支度に取り掛かりました。ラジオでは、活動家の多くがサッカー・スタジアムに連行されていると放送していました。

その最中に、警察の家宅捜索があったのです。ドアを開けると、制服の警官がずかずかと入って来ました。11日の連中と違い、警察の手入れですから、家中を捜して、怪しいものがないかどうか探すわけです。

警官の一人が二階に上がっていきました。それを見ていた私は、ハッと気がつきました。二階の書斎の本棚の裏には、チェ・ゲバラの写真が隠してあったのです。 もちろん見つかれば、即スタジアム送りで、その先には死が待ち構えています。

体中から汗が噴き出したのを憶えています。「これで終わりだな」と覚悟を決めました。

やがて、警官が二階から降りてきました。彼は上官に向ってこう報告したのです。「とくに異常ありません」
警官は無表情でしたが、緊張しているのがありありと分かります。「あぁ、この人は人民連合の支持者なんだ」と感じ取りました。

 これが2回目に死を覚悟した瞬間です。

その後私は警察署に連行されました。私は11日にやったのと同じように、国連職員であると申告して釈放を訴えました。結局私は署長の直接尋問を受けることになりました。

この人物は、国連職員というのを信用しているようには見えませんでしたが、面倒も好まない様子でした。 「お前は相当厄介なやつみたいだ。いつまで国内に留まるつもりだ。とっとと出て行け」、と言い捨てると、私を釈放しました。

私には妻と二人の子供がいました。クーデターの前から情勢が不穏になっていたので、ブラジルの母親が来て子供たちをアルゼンチンに連れて行きました。残るのは妻と二人だけです。

それに1960年に買ったおんぼろのフォルクスワーゲン。これはブラジルから脱出するときにも乗っていた車です。

翌日、私は出国カードを発行してもらうために役所に出頭しました。身分証を提示して待っていると、係官に呼ばれました。係官はわたしの顔を見ると、手元の書類と照合しました。そして、「出国カードは発行できない」といいました。

私は、「署長に出て行けといわれたんだ。早く発行してくれ」とせっつきました。係官はわたしの顔を見て、「だめだ。お前の名はリストに上がっている」と首を振ると、その書類を見せました。

そのリストは「要注意外国人」の一覧表でした。その上から二番目の欄に私の名がしっかり書き込まれていました。

 やがて兵士がやってきて、私を拘束しました。そして留置場に連れて行こうとしました。

鉄格子の前まで来たとき、なんと目の前をあの署長が歩いてくるではありませんか。私は思わず叫びました。「署長さん、私に出て行けと言ったのを憶えていますね」

署長は私の顔をしばらく眺めていました。そのあと、部下に向って「出国カードを渡せ」と命じました。そして再び私のほうを向いて「とっとと出て行け」と言いました。

 これが3回目に死を覚悟した瞬間です。

 私と妻は、フォルクスワーゲンに積めるだけの物を積んで、サンチアゴを出発しました。あとは車がアンデスを越えられるかどうかです。(ウスパヤタ峠の標高は3千メートル以上です。9月は初春、吹雪けば交通止めになる難所です。至る所に残雪があったでしょう)

14年走り続けたフォルクスワーゲンは健気に峠を越えました。トンネルを抜け、検問所を通過してチリの方向を振り返ったとき、突然ひざが震え始めました。その震えはどんどんひどくなり、立っていられないほどでした。体中が震え始めました。その瞬間のことは今も、切り取ったように鮮やかに憶えています。(殿平さんにいわれて思い出したところ)

峠を越えた私たちは、アルゼンチン領のメンドサという町に着きました。

 当時、アルゼンチンはペロン大統領の時代で、ここに腰を落ち着けることも考えたのですが、アルゼンチンでも情勢は徐々にきな臭くなっていました。一方、ブラジルではガイゼルが大統領になってかなり弾圧が緩和され、おとなしくしている限りは安全らしいという情報が入ってきました。

そこで思い切ってサンパウロに戻ることにしたのです。

 サンパウロで1年余り息を潜めて生活していましたが、それでは暮らしていけません。バイアのサルバドルで役所の非常勤職員の口があるといわれ、そちらに移ることにしました。それが1976年のことです。

それからの話はまた別にあるのですが、一つだけ。

 実はサルバドルでもつかまっているのです。78年に労働者を組織していて摘発されたのです。

このときは本格的に拷問を受けました。まず床の上に跪かされました。つぎに角材を膝の裏におかれ、正座を強要されるのです。

拷問する側にとっては手間もかからず、外傷の後も残らないという近代的な拷問です。これでメンバーの名を吐けということになります。

 今でも膝は痛くて、正座はできません。お坊さんが正座できないんじゃ話しになりませんが、仕方ありません。


例によって、テープもとらず、メモさえしないで、後からの記憶を頼りに書いた文章なので、誤りがあると思います。
おまけに、多少アルコールが入っています。
なお、佐藤さんの話で3回目は警察ではなく軍隊だったといっていますが、やはり警察ではないかと思います。チリの警察は警察軍(カラビネーロス)といって軍の一つなので、上級者は軍服です。
警察軍は4軍の中で唯一、最後までアジェンデに忠誠を誓いました。その後は最も反動的な機構に変わっていきますが、この時点では、末端はかなり親アジェンデ派が残っていた可能性があります。


イッセルシュテット・WPOのベートーベン交響曲全集がyoutubeで聞ける。
下世話だが、まず音質がよい。youtube、いろいろ厳しいが、故人の場合は比較的スル-されるようだ。
これが絶品だ。とにかく木管の音がいい。ファゴットがこれほど堪能できる音源もないだろう。ビオラも「こうやって鳴るんだ」と驚くほど聞こえてくる。110年前に生まれた人が45年前に演奏した音が、どうしてこんな風に聞けるのだろう。恐ろしい。

そのすべてが良いとはいえないが、カイルベルトとヴァントは好きな指揮者だ。イッセルシュテットも、それ以上に好きな指揮者になった。

イッセルシュテットという名を聞いたのは、親父からだった。オケ伴専門の指揮者で、冴えない印象だったが、戦前のSP時代にはブイブイ言わせたものだったそうだ。当然ナチの協力者だったわけで、戦後は干されたものだと思っていた。
金のない高校生時代に、グラモフォンの廉価盤へリオドールというレーベルがあって、ドヴォルザークの管楽器のセレナーデと、チャイコフスキーの弦楽のセレナーデがカップリングされていたのを聞いていた。結構何十回と聞いたよな。
レコードなんか買えずにもっぱらソノテープだったから、それに毛が生えたくらいの演奏家だろうと思っていた。
大学に入って聖公会の寮でヌヴーとのブラームス協奏曲を聴いたときも、ヌヴーしか印象にない。そのうちロンドン・レーベルでWPOとの交響曲全集が出たわけだ。
実は当時まったく聴いた記憶がない。「レコード芸術」で毎回推薦盤になっていたことは知っていたが、金出して聴けるわけもないから、「レコ芸なんて」とやせ我慢していた。
FMを丹念にエアチェックしていれば聞けたろうが、その頃からかなり学生運動が忙しくなっていた。夜中に下宿に帰れば、誰かが寝ている、下宿のおばさんには一言、二言言われたなぁ。それをいま45年遅れで聞いているわけだ。

それにしてもいい音だ。近いのか遠いのか良く分からない。人工的といわれればそれまでだが、それが何が悪い、と叫びたくなる。ウィ-ンフィルもどっぷりと浸っているぞ。

Wikipedia でみると、この男、相当変だ。
1900年生まれだから相当昔の人。ビール会社の御曹司で、モーツァルトに狂って音楽界に入り、ナチが政権とるころにはいっぱしの指揮者になった。ナチには入党しなかったが、テレフンケンの売れっ子指揮者になる。奥さんがユダヤ人で、骨折ってイギリスに亡命させることに成功。しかしその隙に座付きの歌手とできてしまい離婚。
ナチのおかげで成功したにもかかわらず、戦後は「非党員」を売りにして早速英占領軍に取り入り、できたばかりの北ドイツ放送交響楽団の正指揮者に就任。30年近くその職に留まる。

こんなやつ前にもいたぞ、と思ったら西条八十だった。

この人、意外にレコードがないのだそうだ。モーツァルトもシューベルトもないようだ。だからこの全集は一世一代の、乾坤一擲の録音だそうだ。しかも息子が録音技師。幸せだよね。

今7番の終楽章。ええぞ!

どうも話がこんがらかっている。日刊工業新聞の短報だけで話を進めようとしたのが間違いだった。

水素の液化プロジェクトの話は「夢物語」としていろいろなところで語られており、事業担当者が壮大に風呂敷を広げている。その割にはコストの話が分からない。そこはかとなく、「ごまかそう」という態度が見てとれる。

そういうヨタ話ではなく、今度昭和基地に取り付けられるという装置がどんなものなのか、その実態を明らかにしないと話が進まない。

といっても難しい話は苦手、とりあえず下記の記事を紹介する。

電力を液体に変えて備蓄、南極昭和基地でも再生可能エネルギー

畑陽一郎


南極の昭和基地はディーゼル発電機を利用している。その燃料は「しらせ」の輸送量の約5割に達している。

南極の風力資源は豊かだ。問題点は風の強さではなく、強さが極端に変化するところにある。そこで、日立製作所の『風力発電機利用水素発電システム』が注目された。

このシステムは、風力で作られた電力で水素を製造し、さらにメチルシクロヘキサン(MCH)にして蓄える。MCHは常温で液体であり、ガソリンと同じインフラで安全に扱うことができる。

基本となる化学反応: 高温条件下でトルエン(右)1分子当たり、水素を3分子加えると、発熱し、MCH(左)に変化する。これはさほど難しい作業ではないようだ。

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システムの概要

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絵の通りだ。5つの装置と軽油を入れて四つのタンクが必要だ。大変なもんだ。

私は勘違いしていたが、MCHを燃やすわけではないようだ。Wikipedia にはジェット機の燃料などと書いてあるから、てっきり燃やすのかと思ったが、そんなことしたら、たちまち破産してしまう。

MCHは水素をくっつけたトルエンであって、水を吸ったスポンジであって、それ以上のものではない。ただの容器である。

それでこの過程のどこが律速段階かというと、MCHから水素を分離をするところがけっこう苦労するようだ。鵜飼漁で言えば、鵜に鮎を食わせるのはさほど難しくないが、それを吐き出させるのが技術ということになる。

日立製作所は技術の詳細を公開していないものの、MCMから水素を取り出す際の反応速度を高めるため、Pt(白金)微粒子などの触媒を利用していると考えられる。

試験運転では、出力3kWの発電機に連結して試験運転を行う。昭和基地への設置に関しては、別途受注契約を結ぶという。

7千万円は「おためしセット」の価格だった。本格的にやろうとすれば、湯水のごとく金を使える軍事目的か国策的研究目的しかない。


経産省が、いまや財界の虜となっているとの指摘は、「原発事故に関する国会調査委員会の報告」で指弾されている内容とも符節をあわせています。産業革新機構はその象徴としての意味を持っているようです。

東郷和彦氏が唱えた「権力四すくみ説」は、いまや遠い過去のものとなったようです。それでは、国家の大事を考えなくなった経産省は、「歌を忘れたカナリヤ」として、「背戸のお山に捨てる」しかないのでしょうか。「いえいえ、それはなりませぬ!」

「象牙の舟に銀の櫂、月夜の海に浮かべれば、忘れた歌を思い出す」

「月夜の海」とは生産現場のことだ。「銀の櫂」とは予算執行と行政指導の権限だ。では「象牙の舟」とはなんだろうか。それは財界から独立した革新的な政権 のことではないでしょうか。(すみません、歌詞はうろ覚えです)

正確に言うと、
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニーの演奏によるブラームスの交響曲第4番で、79年にウィーン・ムジークフェライン・ザールで行われた演奏の実況録音だ。
youtubeにたしかにある。

すげぇクライバー節で、WPOの鼻面引き回している。
80年に同じ演奏者でCDが録音されている。これよりはるかにおとなしい。クライバーは後に手兵バイエルン国立管弦楽団との演奏も録音しているが、こっちは屁みたいなものだ。

前にも書いたことあるかもしれないが、
ネットでこの録音のことがまったく話題にならないものだから、
とても気になる。

Carlos Kleiber
Wiener Philharmoniker
Musikverein, Vienna, 16 12/1979
http://www.youtube.com/watch?v=e8Kl-fLlS_M

ただし、最良の演奏はクライバーではなくジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団だ。アメリカのオケの最後の輝きだ。もうこれをしのぐ演奏は未来永劫ないんじゃないかという感じすらする。

泉 幸男のブログ

 というページに日刊工業新聞の記事が転載されていた。

日刊工業新聞 平成23年11月8日

≪日立、極地研から水素発電システムを受注

日立製作所は11月7日、風力発電を利用した水素発電システムを国立極地研究所から受注したと発表した。受注額は7,050万円。
風力で発電した電気を水素に変換して備蓄し、必要時に発電に使う仕組み。2011年11月から2012年3月まで、極地研が秋田県にかほ市で実験中の風力発電機に接続する。

将来は南極の昭和基地での利用を想定しているという。

日立が担当するシステムは水の電気分解で水素を発生し、これをトルエンに固着してメチルシクロヘキサン (MCH) の形で貯蔵する。
必要時には水素を分離し、軽油に混合してディーゼル発電機で発電する。
水素発生量は毎時480リットルで、変動の大きい風力発電でも対応できる。またMCHは通常の燃料タンクで貯蔵可能という。

南極観測船の運搬物資のうち半分は燃料が占めるという。輸送量に限りがあるため自然エネルギーへの転換が求められており、風力発電を貯蔵できる日立のシステムが採用された。≫

この記事のミソは

①とにかく安いこと 7,050万円とは涙が出るほどの低価格。大量生産すれば2千万くらいまで下がりそう。

②通常の燃料タンクで貯蔵可能、ディーゼル発電機で使えるというユーティリティの高さ。

一体どうなっているんだろう。どうして爆発的に普及しないのだろう。何か裏があるだろう。


探してみたらあった。沖縄の久米島というところで導入を想定してコスト計算していた。
なにやら難しい計算式が並んでいるが、結論としては、とてもコスト的には引き合わないということ。7千万円の機械一式買い揃えば終わりということではない。
風力発電のコスト、電気分解して水素を発生させる装置、トルエンを買って貯蔵して水素を固着させる設備。さらにMCHを燃やして発電する火力発電のコストすべてをトータルするととんでもない金額になる。何百年かかっても元は取れない。
ということでこれが実用化されるのはだいぶ先の話のようだ。

代替発電についていずれも不安定性、高コスト、低効率が壁となっている。
最大の可能性を秘めているのが風力だが、これがまさに「風まかせ」で一番厄介だ。
GEの社長が「これからの基礎電源は風力とLNGのミックスだ」といっているから、多分この方向で考えなくてはならないのだろう。
どこかの商社が動いているようだが、南米パタゴニア台地は年中強風が吹いていて、風車を2,3百本立てると日本の電力需要が賄えてしまうという話がある。問題はその電機をどうやって運ぶかだ。たしか重水か何かにして運ぶみたいな話だったが、たぶん重量・容積あたりのエネルギーは計算に乗らないのではないか。

すみません。ぜんぜん話が違いました。

2012.5.30 パタゴニアの風力発電

という記事でちゃんと書いていました。 液体水素でした。

現在、蓄電の方法として最もポピュラーなのが揚水発電だ。要するに電気のエネルギーを位置エネルギーに変換して貯蔵するということだが、聞いただけでも無駄が多くて、転換効率が悪くて、コストが高い。同じ位置エネルギーなら鉛の塊を持ち上げるほうがはるかに良さそうにも思えるが、(劣化ウランという悪い冗談もある)

小規模な蓄電設備なら鉛電池ということになるが、鉛電池をしのぐといわれたNAS電池がどうも具合悪いようだ。

Wikipedia などで、現状をチェックしてみた。


去年1年だけで二度も火災事故を起こした。
この火災の厄介なのはナトリウム金属が爆発的に燃焼する火災だということで、もんじゅと同じだ。砂をかけるしかないし、鎮火した後の処理も厄介だ。おまけに大量の硫化水素を発生する。
二度の事故で製造元の日本ガイシの株価は暴落したそうだ。
今年の4月から販売を再開したが、いまだに事故の原因は不明で、新たな根本的予防策が講じられた形跡はない。そもそも、こんなものは各消費者ではなく、変電所あたりに置くべきものだろう。
経産省はこういうものこそきちっと指導すべきではないだろうか。


産業革新機構などというものは、今まで知らなかった。しかしちょっと調べてみると、かなり怪しい機構で、こんなものがどうして出来てしまったのかがわからない。

要は税金使って自己勘定取引しようというのだから、かなり恐ろしい発想だ。ボルカーが聞いたら腰を抜かすのではないか。より機動的に資金注入するのが狙いのようだが、機動的に売り逃げもやるのか、ここが最大の問題だ。それが出来なければ、確実にババをつかまされることになる。

信用供与も含めて1兆円、これでレバレッジをかけて、かなりのリスクテークするとなると、大穴あいたらどうするんだろう。赤字国債垂れ流すよりはるかにたちが悪いのではないか。

それで少しネットをあたってみたが、原則的なレベルからの批判はほとんど聞かれない。

とりあえず下記の記事を紹介する。

ダイヤモンド・オンライン

2012年4月20日

革新機構のシステムLSI再建策はナンセンス
これが民の意欲と力を輝かせる産業政策だ

1.システムLSI再編に関する産業革新機構案は疑問だらけ

報道によると、産業革新機構はルネサスとエルピーダの工場を、グローバルファウンドリーズ(GF)社と共同で買収・統合しようとしているらしい。 革新機構案が、今やいかにナンセンスになっているかを指摘したい。

2.GF社自体が抱えるこれだけの問題

GF社は2009年に米AMD社が、ファブをアブダビATIC社に売却して、ロジック系の専業ファンドリーに仕立てた会社である。 (なんやこりゃ?)

28nm微細ラインの量産稼働が主力だが、2012年3月、最大顧客だった米AMD社が契約を破棄・改訂する有り様。そのATIC=GF社と組んで3つの工場を買収しようというのが、産業革新機構の構図になる。

しかし本気で再建するのなら3工場で済むわけがない。GF社の全体をも丸呑みで買収して、全体経営権を握りながら立て直しを考えるしかない。それには5000億円を超えるような資金が必要になるだろう。

3.富士通三重とルネサス山形に収益反転の兆し

実は、300mmファブの富士通三重とルネサス山形は、どちらも業績反転・収益化の芽が出ている。必ずしも「救済」の対象ではない。それでもなお革新機構が買収しようとするならば、高値づかみになる。

ルネサス山形も、ルネサスから切り出してスキームを整えれば、自力で利益を出せる事業体にすることは可能だ。

組み込みDRAM技術を強く支持する大口顧客をうまく組み合わせ、「シェアド・エンジニアリング・ファンドリー」に仕立てることが可能である。

既存の垂直系列からスピンオフ事業体に移行すれば、それが可能になってくる。顧客と利益をシェアする共同体を結成すれば、それぞれの専業的収益化が成り立ち得る。

その総体が、日本半導体の新たなかたちの「産業生態系」を形作るべきだし、それは可能なはずである。

4.現場の士気を鼓舞する力強い産業政策を打ち出せ

経済産業省や、産業革新機構は、上記のような産業生態系に向かって一つ一つ布石を打っていくべきではなかろうか。

半導体産業政策は、1940年代末のトランジスタ発明の頃から続いてきた。転換点をもたらしたのは日米半導体摩擦にともなう日米半導体協定だ。

米国は日本の民生用半導体市場などに食い込むことができた。逆に日本のアナログ半導体は強みをかなり失った。

5.半導体をめぐる産業政策に天王山が迫る

今や日本半導体産業の危機はエルピーダだけではない。あちこちで火が吹いている。

経済産業省は、山形工場などをルネサスからスピンオフし、収益化するモデルなどにテコ入れすべきだろう。

同省が、「既存の大企業の合従連携」というウンザリさせられるありきたりの案から離れて、現場レベルの深い情報を賢く活用し、現場の士気を鼓舞するような、力強い産業政策を打ち出すならば、日本国内にも、まだまだ収益化できる半導体の工場と設計部隊がある。

同省がそうした政策に乗り出すかどうかが、わが国の力を世界にアピールし、収益化し、士気を高めるか否かを決することになろう。

半導体をめぐる産業政策にとってのいわば、天王山が迫っている。


難しいけど、とてもよい記事だと思います。経産省が90年代半導体戦争以降、かつての矜持を失い、アメリカの成すがままになったことに今日の半導体危機の基本があることが分かります。

しかも、この危機に臨んでも、産業革新機構という財界の再編策にそのまま乗っていることに記者は最大の危機感を抱いています。

「行政指導」という国家にとっての伝家の宝刀を手離し、株屋に譲り渡すことの意味はかなり深刻なものがあります。それが今回のエルピーダ・ルネサス問題に象徴的に示されているのではないでしょうか。


ハイドンの交響曲を聞き流している。
玉石混交だ。しかしえらいものだ。手書きで総譜を書いたというだけでもえらい。たしかに書かなきゃ演奏できないんだから書くしかないのだが、筆不精の私が毎日カルテに記載するのと同じなんだろう。
できれば、どうでも良いのは消えるインクで書いてもらって、消えてもらえばよかったのだが。
というわけで104曲が残されたのだが、困るのは若いときのがつまらなくて、だんだん良くなる法華の太鼓、というわけには行かないということだ。20番台に良いのが結構あって、50番から70番くらいは駄作ばっかりという感じもする。
世の中には好きな人がいるもので、104曲プラスアルファの全曲を聴きとおした人がいる。ハイドン交響曲全曲完聴記の弁というページ主だ。
その人の五つ星をつけた曲は「最高、何がなんでも聴くべし。モーツアルトを蹴飛ばしてでも聴くべし」という曲だ。(ほれた欲目であばたもえくぼ、ちょっと五つ星が多すぎるが)
ハイドン交響曲全曲感想記
http://www.orcaland.gr.jp/~maro/movie/haydn~sym.html
というのもある。こちらの評価はもう少しシビアだ。

率直にいえば、サイエンスというよりテクノロジーの世界だ。
ヒントはクローン羊ドリーにすでにふくまれている。体細胞である乳腺細胞プラス卵細胞の何か液性の因子で細胞が先祖帰りすることは分かった。
その何か液性のインデューサー因子を見つければ、何とかなりそうな予感はする。
そのための遺伝子データベースはすでに用意されている。遺伝子工学の基礎知識さえあれば、後はしらみつぶしにするだけだ。
それが日本人の手に転がり込んできたのは、「24マイナス1」の着想が一つだ。(最初は10種絞り込み段階で発表しようとしたらしい)
さらに最初の推進者がアメリカではなくイギリス人だったということ、連中が少々息切れしていたことがひとつ。
もう一つはアメリカがES細胞にのめりこんで、そこで倫理の壁、異種反応の壁にぶち当たってしまったこと、そして何より大きいのは、ブッシュになって研究予算がばっさりと削られことだろう。
2002年から06年にかけて、いわば時間的・空間的に研究にぽかっと大穴が開いた瞬間があった。そのエアポケットに、山中氏らの研究がすっぽりはまった、というのが成功の理由ではないだろうか。
オリンピックで1位と2位がドーピングで失格になって金メダルが転がり込んだような感がないでもない。
むしろ山中氏の大きな功績は、知財権をがんばって獲得し、それを世界に公開したことだろう。これこそノーベル賞に値する。爪のアカを煎じて米倉や長谷川の口に押し込んでやったらよい。


そろそろ、医者の端くれとしては一応、知った振りしなくてはならない時代になったようだ。
とりあえず、いつもの年表方式で整理してみた。

「iPS細胞物語」その他を参考にして作成。また山中らの実験自体については研究課題別事後評価結果を参照した。Wikipedia は未消化で、少しフォーカスがずれていて、やや古い。

81.7 英国ケンブリッジ大学のマーティン・エバンス、マウスの胚盤胞の内部細胞塊を取り出し、多能性を維持したまま分裂を繰り返させることに成功。これをES(Embryonic Stem)細胞として発表。

84年 ブラッドレイらが、ES細胞を受精卵(胚盤胞)に注入。ES細胞に由来する細胞をもつマウスが生まれることが示される。これによりES細胞の多能性と分化能が証明される。

87年 トーマスとカペッチら、ES細胞を利用し、最初のノックアウトマウスを作成。「ES細胞+相同組み代え」により多くのノックアウトマウスが作成されるようになる。

ノックアウト・マウス: 塩基配列は解明されているが機能が不明な遺伝子について、その働きを知るために用いられるマウス。まずES細胞の特定の遺伝子を、類似の塩基を組み込むことにより不活化させる(ノックアウト)。この後成長したマウスと正常のマウスとの行動や状態を比較することで、その遺伝子の機能が分かる。(「相同組み代え」については、とりあえず遺伝子操作の代表的な方法と憶えておけばよいでしょう)

88年 ES細胞の培養に用いられるフィーダー細胞に、分化抑制因子が存在することが分かる。この因子は白血病抑制因子(LIF)と同じものであった。(これにより細胞の分化に細胞内の遺伝子が関与することが分かる)

96年 イギリス・ロスリン研究所のイアン・ウィルマットがクローン羊ドリーを誕生させる。

ドリー誕生の経過: ある羊の乳腺細胞を採取し、別の羊から採った核抜き卵子に入れる。電気刺激で融合させると細胞分裂が始まる。これを別の羊の子宮に植えると、最初の羊とまったく同じ遺伝情報を持つクローン羊の出来上がり。
つまり乳腺細胞が全能細胞に先祖帰りしたことになる。それをinduceしたのは、核抜き卵細胞の細胞質内の“何かである。

98.11 米・ウィスコンシン大のジェームス・トムソン、ヒトの受精卵からES細胞を作成。

この報告はマスコミに大きく取り上げられ、再生医療への期待が大いに高まった。第一次再生医療ブームといえる。同時に人間になりうる細胞を実験に供することに対し批判も強まる。この倫理問題と、拒絶反応の問題からES細胞の研究は行き詰まる。

05.6 京大の山中伸弥、iPS細胞づくりの実験を開始。初期化に関係する可能性のある遺伝子を選び出す。

第一段階: 独立行政法人理化学研究所が公開しているマウスの遺伝子公共データベースを活用し、データベース上でマウスのES細胞で働き、分化した細胞で働いていない遺伝子を抽出。これで100種類ほどに絞り込む。
第二段階: ノックアウトマウスを使ってこの100個の候補遺伝子の働きを調べ、候補遺伝子をさらに24個までに絞り込む。

05.8 山中のグループ、24種類の遺伝子すべてを、レトロウイルスをベクターに用い、マウスの皮膚細胞(皮膚といっても真皮層の線維芽細胞)に送りこむ。これによりES細胞に類似する多能性細胞が形成されることを観察。インダクションに必要な遺伝子の選別作業に入る。

第一段階: 24の遺伝子を個別に導入したが、すべて失敗。単独の遺伝子による作用ではないことが確認される。
第二段階: 「24マイナス1」方式で絞込みを行ない、関係ないものを排除する方式に切り替える。

06.1 韓国ソウル大で、ヒト・クローン胚からES細胞を作成したとの捏造論文。

06.8 山中ら、4種の遺伝子の導入によりマウスの皮膚から人工多能性幹細胞を作成することに成功したと発表。iPS細胞と名づける。4種の遺伝子とはOct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc で、山中ファクターと呼ばれる。

07.7 山中ら、よりES細胞に近い遺伝子発現パターンを示す改良iPS細胞(Nanog-iPS細胞)を作成。

Nanog-iPSの作成法: Nanog遺伝子にGFPおよびピューロマイシン耐性遺伝子を挿入したノックイン・マウスを作製。このマウスの線維芽細胞に4遺伝子を導入しiPS細胞を作成。
どうもあやふやだが、Nanog遺伝子というのは遺伝子というよりは遺伝子座であり、標的であるようだ。これまでの標的だったFbx15より、多能性により深く関与するとされているようだ。(御指摘お待ちします)

07.11 山中伸弥とウィスコンシン大学のジェームス・トムソンが独立してヒトiPS細胞を作成。

白人女性の顔の皮膚からマウスと同様の方法によりヒトES細胞に類似した細胞の増殖に成功。多分化能を獲得していることが証明される。
トムソンは山中ファクターのうちOct3/4、Sox2の2因子とNanog、Lin28で作製した。

07.12 山中ら、c-Mycを除くOct3/4・Sox2・Klf4の3因子だけでも、マウス・ヒトともにiPS細胞の樹立が可能であると報告。ただしc-MycなしではiPS細胞の樹立効率が極端に低下。

その後の追試で、山中ファクターについては修正が加えられている。ハーバード大学のデイリーらは、Act3/4遺伝子とSox2が必須であり、c-Myc遺伝子とKlf4遺伝子はどちらか一方があればよいとの成績を出している。

07.12 アメリカのルドルフ・ジェニッシュら、鎌状赤血球症のマウスの治療に成功したと報告。

実験の概要: 鎌状赤血球症のマウスからiPS細胞をつくり造血幹細胞へと分化させる。この造血幹細胞に遺伝子組み換えを行ない、正常造血幹細胞に入れ替える。この造血幹細胞を増殖させ、移植したところ、鎌状赤血球症は治癒した。

08.4 Bリンパ球からのiPS細胞の作成に成功。このあと、皮膚線維芽細胞の変わりに膵臓β細胞、神経幹細胞、毛髪などさまざまな細胞からiPS細胞が作成されるようになる。

08.9 ハーバード大学のHochedlingerら、レトロウィルスの代わりアデノウイルスを用いて、ヒトiPS細胞作製。ウィルスとしての毒性が低く、安全性が向上する。さらにウィルス・ベクターを使わないインダクション法の探求が始まる。

09.1 米ネバダがん研究所のデビッド・ウォードら、ジェニッシュと同様の原理で、マウスを使った実験で血友病を治すことに成功。

09.2 東京大学の中内啓光ら、iPS細胞から血小板を作ることに成功。ウィスコンシン大学のカンプらはヒトiPS細胞から心筋を分化誘導。(このあたり書き切れないほどの発表)

09.4 ウィルスの代わりに、ゲノムへの組み込みのないエピソームをベクターに用い、ヒトiPS細胞の作成に成功。

09.8 がん抑制遺伝子"p53"の働きを抑えることでiPS細胞の作製効率が飛躍的に向上。

09.11 筋ジストロフィー患者から異常遺伝子を修復したiPS細胞を作製。

10.7 Geron社、ES細胞をつかったヒト脊髄損傷治療に対する臨床試験を始めると発表。

10.9 山中ら、c-Mycと同じ遺伝子ファミリーに属するL-Mycを用いれば、効率が5~10倍化し、がん化リスクがほぼゼロとなると発表。

c-Myc遺伝子: iPS細胞が癌化する原因はc-Myc遺伝子の突然変異にあるとされる。c-Myc遺伝子は、本来は細胞増殖期にだけ働くが、突然変異で働き続けるようになってしまうことがある。
Mycファミリー: c-Myc、L-Myc、N-Mycというファミリー遺伝子が知られている。L-Myc はN末端のアミノ酸配列が短く、培養細胞での形質転換活性が低い。

11.6 山中ら、c-Mycの代替転写因子を検討。Glis1遺伝子が有効であることを確認。細胞の初期化を促進するとともに、初期化が不完全な細胞の増殖を抑制できると発表。

10.10 ハーバード大学のD. J. Rossら、iPS細胞への誘導因子をDNAではなく、mRNAの状態にして導入する方法を発表。mRNAは不要になったら分解されるため安全とされる。

RNAにより誘導されたiPS細胞はRiPS細胞と呼ばれる。従来のウイルスベクターに よって樹立されたiPS細胞よりもES細胞に近く、2桁も効率が高く、誘導にかかる時間が半分程度ですむ。さらにmRNAに化学修飾を施すことにより、タ ンパク質合成効率や細胞の生存率を高める可能性も指摘される。

1.3 東京大学の宮島篤、iPS細胞をランゲルハンス島に分化させ、マウスに移植し血糖をコントロールすることに成功。



RiPS細胞の記述は良く分からない。これまでのベクターはレトロウイルスであるが、これ自体RNA型のウイルスで、ウイルス粒子中に逆転写酵素を持っている。

「DNAではなく、mRNA」と書いてあるが「RNAではなくmRNA」の間違いではないか?

レトロウィルスは、宿主のDNAとくっついて情報を転写する。取り付かれたDNAはやがて二本鎖となり、いったん染色体の中に組み込まれる。組み込まれた「プロウィルス」がmRNA(ヘアピンRNA)を合成する。このmRNAがミトコンドリアでウィルス粒子を生産する…というのが大まかな流れだ。

ここから先は良く分からないが、最初からこのヘアピンRNAを細胞に突っ込んだらどうなるだろうか、ということなのかもしれない。誰かが原著を邦訳してくれているが、ちんぷんかんぷんだ。


我々のような素人が混乱するのは、生物の階層性がなかなか把握できないからだ。細胞のレベルなのか、核のレベルなのか、染色体のレベルなのか、遺伝子のレベルなのか、DNAのレベルなのか、塩基配列のレベルなのか、これらが分かっていないと話がゴタマゼになってしまう。

これらは遺伝子工学の世界の話だが、iPS細胞の話はそういうことを知らなくてもなんとなく分かってしまう。だから、ちょっと突っ込んでいくとしどろもどろになってしまう。

さりとて、あまりそちらの方面を詳しく説明しすぎると、話がわき道にそれてしまい、肝心のiPS細胞の話がどこかに飛んでしまう。(Wikipediaの解説はそのきらいがある)

その辺のバランスのとり方が、案外難しい。


9月の貿易収支が出た。
非常に悪い。過去最大だ。赤字幅の増大が深刻だ。
3.11以降、LNGと原油の輸入増が赤字の主因となってきたが、最近ではこれに加えて中国経済の減速、さらにEUが緊縮政策を採ったことによる輸出の減少が加わっている。
そこへ持ってきて尖閣騒ぎだ。

どうも気になるが、この問題に関して政財界の動きがきわめて鈍い。深刻感が感じられない。目下の関心事は家電業界のリストラばかりだ。
はっきりしているのは、縮小再均衡を実現したとしても、労働者や国民の所得を減らし、収奪を強化し、内部留保を積み増したとしても、本当の国際競争力の強化にはまったく結びつかないということだ。

彼らは、この10年間、構造改革でやってきて、こういう事態になった、ということについて自問自答してみる必要があるのではないだろうか。「そもそも我々のやってきたことは正しかったのだろうか」と。

事態の深刻さは赤字幅にあるのではない。この状況を打破する展望を打ち出せないことにある。今日の電機は明日の自動車だし、工作機械だ。

経団連が安倍自民党執行部と会談を行った。
重要なポイントは三つある
①これが民主党の新執行部や野田新内閣との会談に先駆けて行われた点。赤旗は「今度の総選挙の結果、自民党が第一党になり自公政権に移行する」との経団連幹部の見通しを報道している。
②安倍総裁が経団連の意向を受け、「ともに行動し、日本経済を強くする」と述べたこと。つまり、これまで以上に経団連の意向が強く反映される政権が登場する可能性があること。
③経団連の意向の背景として、原発政策に関する危機感があること。これを受け、安倍総裁は、「原子力の推進は自民党の守るべき一線」と応えたという。
記事では次のように評価している。

対米従属の下、多国籍企業化した大企業のための政治を、さらに推し進めるならば、これまで以上に国民生活に破壊的影響を与えることになるだろう。

「対米従属の下、多国籍企業化した大企業」という規定は目新しいものがある。民主的統制下におくというよりは、有害無益、打倒の対象というニュアンスが強くなる。もう少し慎重な検討が必要だろう。

本日の赤旗、一面トップの記事。
親法人1300社、子法人9500社で連結決算に変更した。その効果が6千億の節税となった。
これができるのは、当然ながら大企業のみ。
連結会社数は10年前の3倍に増えているというから、かなり無理な「連結」を行っているには違いない。これだけで消費税0.4%くらいになるはずだ。法人税減税で食った上にさらにここまでやれば、消費税引き上げ分はパーになる。
どうしてここまで無茶苦茶するのだろう。

8月以来の中田の打撃は本物だと思う。
ずいぶん苦労したものだ。大変だったろうと思う。
よってたかっていじられたが、そうやって自分のスタイルを身につけたのだろう。
そのスタイルとは一言で言って「つながない野球」だろう。
日本ハムはつなぐ野球を信条としてきた。これは「稲葉イズム」でもある。
「つなぐ野球」はワールド・ベースボールで稲葉が「つなぎの4番」とみずからを評したことで一躍有名になった。
日本ハムは個人の力で見ると決して強いチームではない。どちらかといえば非力な貧打のチームであった。しかし守備は良かった。毎試合平均、ヒット2本くらいはアウトにしている。
傑出した投手もいず、継投でしのいだ。負けるときはボロ負け、勝つときは一点差というのが試合のスタイルだ。
鍛え上げた高校野球のチームみたいだ。金もない田舎チームが勝つにはこれしかない。
ただダルビッシュが出てきて、糸井と陽が力をつけてくると、すこしスタイルが変わってきた。ヒルマンと梨田の違いもあって、すこし戦法が大味になった。
そして勝てなくなった。
今年、監督が変わりヒルマン由来のつなぐ野球が復活した。中田は打撃フォームの問題より、むしろこのスタイルにどう溶け込むかで苦労した。このとき稲葉の指導が良かったのだと思う。
「お前はつながない野球をやれ。それがつなぐ野球の中でのお前の役割だ」
とでも言ったのではないだろうか。
なぜなら二人の打撃スタイルはまったく異なるし、技術的に指導してもしようがないからだ。
結局はそれがつながりになる。すべての選手がそれを希望すれば、団結が壊れることはない。
なぜなら、中田はやはりそれだけのものを持っているからだ。

汽車に乗って窓の外をいくら眺めても、自分が乗っている列車が上りなのか、下りなのかは分からない。
一回、駅で降りて、案内板を見てみるしかない。本当に乗るべき列車はプラットフォームの反対側なのかもしれない。

老健は上りの本線の中間駅ということになっている。スタッフもそのように配置されているし、介護報酬もそのように割り当てられている。
しかし列車にはそう書いてあっても、実際に走っているのは下りの本線なのではないか。上り専用の列車を下り本線に代用しているのではないか。

そもそも下り用の列車が圧倒的に不足している。あっても、前の駅止まりだ。だから乗客がどんどん乗り込んでくる。
下り線仕様の老健機能をもう少し充実させるべきだ。
日本の年齢構成の特異性から見て、在宅主流というのは幻想に近いし、波及効果もふくめたトータルコストとして能率的とも思えない。適切な医療体系の創造的再編が必要だろう。

基本的に、老健というのは悪い施設ではないと思う。機能も豊富だし、一定のレベルも確保されている(?)し、コストもそこそこ抑えられているし、何よりも利用者負担が比較的低いというのがうれしい。
この特性を生かしつつ、もう少し状況に見合ったモディファイとメリハリの利いた報酬体系が必要であろう。

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