日本列島の地体構造 読後感想
① えれぇものに手を着けてしまったと思う。なにやら分からない言葉がずらずらと並ぶが、困るのは論理の行く先が果てしなく遠く、何を言わんとしているかが見えなくなってしまうことである。
②勉強になったのは、研究方法の進歩により、「大胆な仮説」など不要になったということだ。それがいまや「土に語らせよ、岩(とくに蛇紋岩)に語らせよ。語らなければ、爆弾で語らせよ」と、著者は主張している。
③1980年代までは、日本列島形成論は「邪馬台国論争」レベルだったらしい。結構地方研究家のレベルが厚くて、ということは中央のアカデミーにあまり権威がなくて、その間隙を縫って大風呂敷を広げる「専門家」が登場するという時代があったようだ。
基本的なストーリーはこういうことのようだ。
④日本は最初南中国地塊の辺縁に位置していた。南中国地塊と北中国地塊は最初別のものだったが2,3億年前に衝突した。そのときヒマラヤ並みの巨大な山脈が形成され、そこから出た膨大な土砂が日本列島を形成する。
⑤その後海洋プレートの沈み込みにより6回の造山運動があり、付加体が成長した。日本列島は構造侵食を乗り越えて、約5億年間に約500 km 海洋側へと成長した。
⑥日本列島の形成はこれですべて説明できる。フォッサマグナや中央構造線は、二次的・部分的な変化でしかない。観音開きや1000キロ横滑りはもう忘れたほうが良い。
とはいえ、これは地学雑誌だ。考古学で邪馬台国を読み解くようなものだ。荒唐無稽なセオリーは排除されるにしても、これではちょっと物足りない。
もともとの私の疑問は、
①中央構造線はなぜあんなにきれいなのか。
②弧状列島はどうしてできるのか
③日本列島はどうして大きいのか
ということだった。そしてすこし勉強してみて、
④東北・北海道が北アメリカプレートならば、南西日本となぜ、どうやって一つになったのか。
ということだった。
①については「若いから」ということで、とりあえず分かった。
③については、南北中国の衝突の影響ということで分かった。
②はとりあえず、他の文献でわかった。観音開きは不必要だと納得できた。
④については、依然分からない。著者は南西日本こそが日本で、北海道など日本ではないと思っているようだ。