鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2012年02月

ヒラリー・ハーンはなかなかガードが堅いらしくて、YouTubeではほとんど聞けない人である。
最近ではバイオリニストというと若くて美人が相場で、ほとんど聞くというより見るものになっている。悔しいからこの人もそういう人だと思っていた。
ところがバッハの協奏曲第2番ホ長調を聞いてみて、思わず唸った。でしゃばらず、バックと溶け合いながら、主張すべきは主張し、実にしっかりした演奏をしている。
バシュメットのビオラを聞いた時のような印象だ。

1997年論 まずは年表から

1997年4月

1 財政構造改革を旗印に、消費税が税率3%から5%など負担増9兆円、公共投資など歳出削減4兆円
8 東京外国為替市場で4年7か月ぶりの円ドル126円台に。
25 大蔵省,日産生命に業務停止命令

1997年5月
 16日 改正外為法(外為取引の自由化)、改正商法(ストックオプションの解禁)が成立

1997年6月
13 金融制度調査会,証券取引審議会,保険審議会が日本版ビッグバンの実現を目指す報告
16 患者負担増(本人2割負担)を柱とする医療保険制度改正関連法案が可決成立。9/1より施行
30 第一勧銀・野村證券に業務の一部停止の行政処分を通告。年末まで。
6月 株式は年間最高値をつける

1997年7月
3 アジア通貨危機がはじまる。タイが通貨バーツが変動相場制に移行。実質的な切り下げ。東南アジア各国では,外貨流出や通貨下落が相次ぐ。

1997年8月
15 ニューヨーク株式市場、ダウ工業株平均で247ドル安。史上2番目の下げ幅。株安が世界に波及。

1997年9月
11日 第2四半期、第1次石油ショック以来のマイナス成長(前期比年率-10.6% )を記録

1997年10月
27日 NY株、ブラックマンデー上回る急落。初の全面取引停止.

1997年11月
3 三洋証券が会社更生法適用を東京地裁に申請。負債総額3736億。
17 北海道拓殖銀行が経営破綻。都銀初の破綻。道内営業権を北洋銀行へ移転へ。
21 韓国,IMFに約200億ドルの支援要請
24 山一証券、廃業の申請を決定。簿外債務2648億円。
11月 財政構造改革法が成立。6年間で赤字国債の発行をゼロにする計画。その後財政による景気対策を制約することとなる.

1997年12月
5 NY外国為替市場、1ドル130円に。1992年以来の安値。日銀30億ドルの円買いドル売り介入
17 橋本首相,2兆円特別減税表明

1998年1月
補正予算。公共事業の追加1兆円と,次年度公共事業先取りが1兆5千億円

2月 金融機能安定化緊急措置法,30兆円の公的資金投入。21銀行が公的資金申請

3月 ヤクルト,デリバティブで1057億円損失
3月 失業率過去最悪3.6%.有効求人倍率は0.61.完全失業者246万人.就業者数は6411万人

4月 緊急経済対策(16兆円、真水で10兆円) 財政構造改革法を緩和、特別減税を拡大。


97年4月から98年4月までの経過である。 経過表を眺めるだけでいくつかのことが分かってくる。

①景気の落ち込みが問題になるのは第4四半期に入ってからである。第2四半期の落ち込みは第1四半期の駆け込み需要の反動である。 第3四半期はチョボチョボの線に回復している。しかし需要はまったく喚起されず、作っても売れない状況に入っていた。

②98年4月からの金融ビッグバンを前に、不良資産にあえぐ金融機関に自己資本強化が求められた。資金難の民間に貸し渋りは往復ビンタとなった。

③7月からアジア通貨危機が始まり、10月には拓銀、山一の破綻となった。株価は乱高下し信用不安が進んだ。

④ここでは明らかになったのはヤクルトだけだが、オリンパスもこのとき巨額の損失を出していた。企業は減収増益を目指し守りの体制に入った。新規採用はとまり、人々はますます財布の紐を引き締めた。

この経過で97年危機が訪れた要因は、9+4兆円のほかにアジア金融危機という外因、そしてバブルの最終処理の強制という三つに絞られるが、それぞれがどの程度の重みを持っていたかを吟味しなければならない。

1997年論というのは相当の難物である。

共産党の論調では、消費税の3から5%への引き上げと、社会保障の改悪、特別減税の停止をふくめた9兆円負担増が日本の景気を悪くした元凶だとしている。

いろいろ調べてみると、そんなに単純なものではなさそうだ。日本の経済構造が大きく変わった変曲点であることは間違いない。そこにはもっと中長期的な大きな力が働いているはずだ。曲がり角としての90年代論を語ることなしに、そのエッジとしての97年を語ることは出来ない。それが何だったのかをコンセンサス議論としていく必要があるだろう。

それには世情論とかトリビアルな指標で議論するのはやめて、がちがちのマクロ指標で正面から取り組んでいくしかない。

もう一つは、日本経済が変わったという受身議論だけではなく、政策・戦略として97年「改革」を推進した勢力がなんだったのかというダイナミックスも明らかにしなければならない。これは日本の政治を根本から変えていく上で避けて通れない課題である。

昨日のNHKの原発事故の民間事故調査委員会の報告に関連した番組はすごかった。「そこまで言っていいんかい」の連続で、息継ぐ暇も与えないほどの迫力だった。大地震のときに隠れていた地層が断層を起こし鮮やかに層状構造を見せてくれるが、日本の権力構造の政・財・官という積み上げかたも、一瞬、その秘部をさらしたようだ。

この報告についての分析はこれからいろいろ出てくるだろうから、引き続き注目していきたい。97年「改革」についても、一つの政策的激変であったから当然露頭が顔を出しているはずだ。大蔵省の財務畑が主導し橋本内閣を動かしたという構図だが、銀行畑はどう動いたのだろう。橋本内閣が大蔵省主流の方向で動いていたのに対し、与党内での対抗する動きはなかったのか、通産省や経企庁はどう動いたのか。財界はどう反応したのか。アメリカはどこをどう動かしたのか。

いずれにせよ、今度の一体改革が「97年の二の舞」になるのではないかという不安は、国民のあいだに根強くある。だから政府・財務省はそうならない根拠を示さなければならないのである。少なくとも97年「改革」を総括し、その失敗の原因を明らかにし、97年との違いを明らかにしなければならないのではないか。

ところがどうも、その作業は棚にあげて、「97年は特殊な年だったから、消費税引き上げによる景気悪化とはいえない」といって、頬被りしようとしているようにも見える。これでは原発再開の議論と変わるところはない。

たしかに興味ない人にはたいした記事ではないかもしれないが、国際面のベタ記事。

短いので全文紹介する

コロンビアの最大の左翼武装組織コロンビア革命軍(FARC)は、26日、拘束している人質のうち、警察や軍関係者10人を解放するとともに、民間人誘拐を今後一切しないと宣言しました。

画期的な、というより歴史的な宣言だ。

人質作戦はベタンクール誘拐などをふくめ、一貫してFARCのスティグマだった。世界からの連帯がとまったのもそのためだ。

ゲリラの作戦が初期に金持ちを誘拐して身代金を取ったり、銀行や銃器店を襲撃したりするのは、ある程度やむをえない。それ自体が抑圧者に対する懲罰という側面もある。

しかしこれはたいてい、山中のゲリラではなく、都市のコマンド部隊のやることで、つかまれば皆殺しとなるきわめてリスキーな作戦だった。

しかし最近の誘拐はゲリラの本隊そのものが道路を封鎖して金をせびったり、村落を襲撃して金品を強奪したりと節操がなくなり、一種の安全なビジネスと化している。これはゲリラとしての堕落だ。

20年を経て、ようやくそのことを悟ったようだ。これにはマヌエル・マルランダやホルヘ・ブリセノ(モノ・ホホイ司令官)など“生まれながらのゲリラ”という指導者がなくなり、やっと世間の風が入り始めたという事情があるのかもしれない。

このほかにコカインというもう一つの大問題も残されているが、国内的にみれば、こちらのほうがはるかに片はつけやすいと思う。なんとなれば、アメリカの意向さえ気にしなければ、とりあえず手はつけなくてもよいからだ。

FARCが武装闘争を開始してから50年、いったん休戦したあとふたたび銃をとり始めてから25年、農民ゲリラが闘い始めてからだと60年になる。ようやく解決への糸口が見え始めた。

この間に都市人口は飛躍的に高まり(そのほとんどが失業者だが)、闘争の形態も大きく変わっている。合法活動の余地はまだ極めて少ないが、軍もふくめて厭戦気分が横溢している。

市民的不服従の戦いと、二大政党制に収斂されない人民の極の形成が最大の課題となるだろう。

さすが全国商団連はしっかり要点を抑えている。
国分会長が衆院予算委での意見陳述。

①消費税は景気を冷やす。
②中小業者は価格転嫁できない。
③輸出大企業は負担軽減になる。
④リストラを促進することになる。

③については輸出戻し税を根拠としている。これによる還付額は上位10社だけで8700億円。
④については派遣社員の比率増加により、納税額が減らされるという派遣奨励策を挙げている。 

派遣奨励策に関しては、「2012.2.10 “派遣”の人件費は仕入れ控除すべきではない」を参照してください。
海外配当非課税もあげておけばよかったと思うが、こんなものでしょう。

大阪の思想調査の本質が、急速に明らかになっている。
その犯罪性の最大のポイントは、本人の思想調査もさることながら、市役所労組の言葉を借りれば「チクリ」の強制にある。
その結果、あなたの名前が記載され、権力から危険分子のレッテルが貼られているかもしれない。しかも自分のまったく知らないところで…
これはフィクションではない。目の前ですでに起きてしまった事態なのである。
市役所の職員がけしからんとか、市職労・市労連が憎たらしいからというレベルの問題ではない。

これは、思想としてもきわめて危険な思想である。「チクリ」を強制するだけではなく、「チクリ」とその強制を合法と考える思想である。さらに言えば「チクリ」社会を実現しようとする思想である。
これが問題でないと強弁する橋下市長の頭の中は完全に腐っている。

橋下支持者は他人を蹴っ飛ばそうとして自分の足を蹴っていることになる。あなたはもう「匿名」のままではいられないのである。なぜなら公権力はあまねく影響を及ぼすからだ。あなたのメールは読まれ、名は知られ、「不満分子」としてブラックリストに載せられるのだ。

今日のユダヤ人は、明日のすべてのドイツ人である。
蹴っ飛ばしたいのならほかにやり方はあるだろう。
監視社会を許容し、「批判の自由」を投げ捨てるのは、愚の骨頂だ。

ドビュッシーの「雨の庭」が聞きたくなってYouTubeを探したが見当たらない。
リヒテルの演奏は聞きたくない。アラウとハースがあるが音が悪い。アルゲリッチも随分昔の録音だ。後は素人の演奏ばかり。
こんなにYouTubeが発達しているのに、穴場になっている。

探していたら、ドビュッシーのピアノ曲全曲をアップロードしてくれた奇特な人がいて、正直音も演奏もあまりよくないのだが、一通り聞いてみた。ドビュッシーという人は1903年あたりで才能が枯渇したようだ。最晩年のフルート、ビオラ、ハープ・ソナタあたりで奇跡的な復活をしているが、躁鬱病だったのかもしれない。あるいは遊ぶのに忙しかったのかもしれない。それも人生だわな。

土曜日の赤旗「応分の負担 4」は勉強になった。
大企業の優遇税制のうち、連結納税制度と海外税額控除についての説明。

①連結納税制度
100%出資の子会社について損益を合算して決算する制度。赤字の子会社があればその分納税額が減ることになる。
まぁ仕方ないんじゃないかと思うが、実際にやってみると904の企業グループで1兆2600億円払うべきところが7200億円で済んだそうだ。これは43%というすごい節税になっている。
ただその節税テクニックの手法については書かれていないので、少し勉強する必要がありそうだ。

②海外税額控除
企業が海外で利益を得た場合、海外でも課税される。その分を日本で控除するもの。控除しないと税の二重取りになるから、企業側から見ればたしかに不合理だ。
しかし09年からはこれにおまけがついた。これが「海外子会社配当益金不算入制度」というもの。これは配当金の95%を非課税所得とするもの。
これはまったく理由が分からない。政府は税の支払いを嫌って「海外に滞留する」資金を国内に還流するためとしているが、それにしても法体系上不合理だ。
原理的には海外資産への課税として、還流しようがするまいが徴税すべきものだろう。そうすれば還流は100%保証されることになる。
技術的困難があるのなら、みなし課税すればよい。

「海外配当への非課税」については 2011.12.7 にも記事を掲載しています。そちらもご参照ください。

医療関係者がTPPに関するシンポを開催した。
その中で注目したのは保団連の住江会長の発言。
医療の公定価格制度が「自由な競争を阻害する」とされかねない危険性を指摘したとある。

いわゆる「毒素条項」の本質は、「自由契約原理主義」にある。しかしこれはアメリカの、しかも大企業の論理であり、「新自由主義」そのものである。

ILOはもとより、これまでのGATTやWTOの基本精神とも相容れない「強者の論理」である。

我々が目指すのは「法の下での平等」であり、「契約の下での平等」ではない。契約の前提には法の下での平等は含まれていない。「人身売買」も、「ヤミ金融」も契約は契約なのである。

だから契約には、法的見地から規制が加えられなければならない。その契約が公的性格が強いものであればあるほど、規制も強力でなければならない。そうでなければ社会が崩壊してしまう。

すなわち共同体の論理は私契約の論理に対して優越的地位を持つのである。そのことを前提にして、両者が共存共栄できるようにするのが国家の政策であり、実体的には憲法を頂点とする法体系なのである。

TPPはごく表面的なメリット・デメリットの議論でも有害無益なものだが、TPPを支える思想・原理の面から見ても人類社会の進むべき道を踏み外している。

日本の医療は自由開業医制を基盤として発展してきたといわれる。たしかに医療の効率はきわめて高い。しかし、戦後の医療の流れを決めたのは開業医制ではなく、国民皆保険制だ。


これは60年代後半の「医療社会化論」との論争を通じて確認されてきたんですが、もう昔のことでだいぶ忘れてしまいました。
一度おさらいをしてみる必要があります。


世界政治のバックナンバー回顧もいよいよ大詰めになってきた。

88年6月上旬号に増田紘一氏のブラジル共産党(PCB)機関紙祭り参加録が掲載されている。当時読んでいたことは間違いない。ちゃんと年表に織り込まれている。

しかし「あれっ変だな」と思ったことも間違いない。だから実事求是でやってきたつもりだ。今となっては私のほうが正しかったようだ。

ということで、記事を以下に転載する。

ブラジル共産党は58年3月に自主的な立場を発展させるよう決定した。だがブラジル革命は10月革命と同じでなければならないとい考えは根強く続いた。
さらに中国革命と同じでなければならないという潮流も生まれた。50年代の終わりから60年代のはじめにかけてである。武装闘争唯一論である。
この潮流は60年の代5回党大会で政治的に敗北し、62年に別党PCdoBを結成し、革命の平和的な道に反対して、中国式の農村から都市を包囲するとか長期人民戦争論に基づく武装闘争路線を主張した。
毛沢東路線の誤りが明らかになって後、このグループはアルバニア派に変わった。最近ではアルバニアのことも口にしなくなっているという。しかしこのグループはPCBよりも1議席多い4名の下院議員を持っている。
毛沢東盲従派の分裂に続いて、ブラジル革命はキューバ革命と同じでなければならないという潮流の発生だった。キューバ革命のモデルをその独自の特殊性を除き規範として解釈したのである、という。
このグループは、クーデター直前は革命前夜であったとし、PCBは右翼的誤りを犯したと批判し、武装闘争路線を主張した。このグループが若干の指導部のメンバーだけでなく、若い世代の多くを引き連れていったために打撃は大きかったといわれている。
こうした外国の武装闘争の経験の無批判的な移植は繰り返し起こり、その都度分裂を産み、党を弱体化した。

これらのPCB幹部の主張が全くのお笑い種であったことは、いまではかなり明らかになっている。PCBの「武装闘争」批判論は、体を張って権利を守りぬく現場の闘争とは無縁の議会主義クレチン病の世界である。

たぶん全国報道はされないと思うので紹介しておく。
定例市議会で共産党が代表質問。
「姉妹孤立死」問題について当局の考えをただした。

副市長の答弁。
①「申請の意思は示されなかった」から当局に落ち度はない
②「ただちに生存が危うくなる状況ではなかった」との判断は妥当だ
③(申請を受けられなかった人への追跡調査について)「必要ない」

上田市長は「制度の狭間で救いがたい事例だった」と答えた。

どうも変だ。トップと現場感覚にずれがあるようだ。おそらく、姉は突然死と思われ、死亡前に危険を予測することは難しかったと思う。
したがって、“生保申請をさせなかったことと死亡との間の因果関係はない”と考えるのももっともである。

ただ今問われているのはそういう類の責任ではない。現場のスタッフに落ち度はなかった。しかし姉妹を孤立死させてしまった。“じゃぁどうしたら良かったのだろう、どうすれば良いのだろう”、というのは現場の痛切な声ではないだろうか。

この手の事件が二度と起きないように手立てするのは、ほかならぬ当局の責任であり、その責任を問うているのだ。現場もまさにそういう指示を待っているのではないか。

この答弁だと、再発が防止できる保証はまったくないということになる。つまり「制度の狭間」を埋めるべき行政責任の放棄である。

なくなった姉妹は泣き寝入りになるし、現場は激しい非難に晒されるのに、市のトップは、「判断は妥当だった」の一言で頬被りというのは、あまりにも情けない。


赤旗文化面で高橋哲哉教授のインタビューが載っている。
「犠牲のシステム」というのだが、どうもいまひとつピンとこない。

そこのところよりも、“生半可な政権交代くらいではびくともしない戦後日本の国家システムが、その露頭を現わしています”という指摘が印象的である。
その例として二つあげている。
ひとつが鳩山内閣の普天間問題での挫折、もうひとつが菅政権の「脱原発」宣言である。

時の政権の政策に拠らない、もっと深部の構造というのがあって、ある意味で国民の血肉と化し、構造化されているという指摘は鋭いと思う。

しかし私からすると、そのことによって逆に「システム」が露頭を現わしたことに意義があるのだろうと思う。「びくともしなかった」深部の岩盤が、どうも揺らぎ始めたようだ。だから「露頭」が現れたのであろう。

ただそれを「犠牲のシステム」と規定するのは、どうだろうか。
政治・経済の枠組みを越えたもっと深い構造物があるだろうということは分かる。むかし全共闘の諸君は「戦後民主主義の虚妄を解体せよ」と呼んでいた。

とにかく得体の知れないもので、目下のところ「群盲、象をなでる」の域を出ないが、「露頭」の底には何かありそうだという辺りではコンセンサスが成立する。
いまは、構造やシステムそのものを云々するよりは、その表現系であるさまざまな「神話」を分析的に追求するほうが生産的だろうと思う。
医学の研究では、まず症候群として存在を確定する。ついで臨床研究により診断基準を確定する。その後に病理学的検討を加えて疾患としてのエンタイティを確立するという手続きを踏むことになる。


私が考えるには、この「システム」が生み出した数多くの神話、たとえば「日本は輸出しないと食べていけません」神話、「日本はアメリカなしに生きていけません」神話、「会社あっての社会です」神話、「国際競争力」神話、「ソ連が攻めてくる」神話、「朝鮮人・中国人劣等民族」神話、「中流階級」神話、「トリクルダウン神話」、「原子力は未来のエネルギー」神話、「自民党不敗神話」などなど。
それらを、たんに否定し拒否するのではなく、その拠って来るところを探っていくのが最初の足がかりだろうと思う。

戦後60年の“成功体験”によって培われた“素直な”、しかしいびつな感情を日本人は共有している。それは半ばは支配階級によって吹き込まれたものだが、幾分は自然発生的な排外主義によって強化されている。そこをピンセットでより分け、剥離しながら「システム」に迫っていくことになるだろう。

ということで、現下の状況を「国家システムが“ぬっと”露頭を現わした」と表現するのは、良いことだろうと思います。私は経団連の米倉会長がしゃしゃり出てきたときに「野郎、とうとう出てきやがったな」と感じました。原発でJR東海や東レの社長が前面に出てきたり、どうも黒子がはしゃいでいるようにも見えますが、とにかくこういう人々との勝負が本当の勝負でしょう。

あとは、まだ尻尾を出さない財務、通産、国土省あたりのトップ・OB・テクノクラート集団ですかね。

マツダが通期連結業績で1千億を越す赤字となった。赤字は4期連続だ。
短期的には東日本大震災やタイの洪水のためだが、中長期で見ると国内生産比率が高く、円高による輸出採算の悪化が効いているようだ。

嫁さんが身障者になり、トヨタ・ウィッシュに乗り換えたが、それまではファミリア以来のマツダ党だった。
ここの労働組合は割りにがんばっていて、そういう関係で始まったのだが、ファミリアも、初代カペラも良かった。最近の三代目カペラは10年乗ったが、リッター17,8キロ走った。今の車の倍だ。実質価格はウィッシュの2/3だった。

小学生の頃、ダイハツのオート三輪が全盛だったところへ、マツダが進出して来た。最初はオートバイと荷車をくっつけたようなものだったのが、あっという間に丸ハンドルの三人乗り、水冷4気筒になり、ちょっとした乗用車気分だった。

マツダは何度もつぶれかけているが、そのたびに良い車を出して生き残ってきた。隙間を狙わす、ガチンコ勝負をかけてきた。そこを忘れないでほしい。

1700億円を借りて海外進出に拍車をかけようとしているようだが、車作りの本道を踏み外さないよう願う。

一昨年スペイン旅行をしたときに、時刻感覚が変なことに気づいた。
団体旅行なので当然朝早くから移動もあるのだが、それにしても暗い7時でもまだ暁という感じである。一方で日の暮れるのも遅い。10月だというのに7時過ぎても明るい。どうも2時間くらいずれているのではないかと思った。
ところがマドリードは西経2度から3度くらい、グリニッジのほぼ真南に位置する。そんなに狂うわけがない。
それで悩んでいたのだが、実はスペインはGMTを採用していなかったのだ。実時刻に近く、世界標準時でもあるGMTを採用せずにわざわざ中央ヨーロッパ標準時を採用していたのだ。
これだと話が合う。ヨーロッパ中央時はマドリードの実時刻より1時間進んでいる。これにサマータイムを1時間上乗せすると2時間ということで、話のつじつまはあった。
話のつじつまが合ったところで、もう一つの疑問。一体なんで10月までサマータイムを引っ張るのかが分からない。
電気の節約だったら、サマータイムはかえって無駄だ。だいたいスペイン人は宵っ張りだから、アフターアワーが長くてもそのぶんアルコールが増えるばかりであまり生産的ではないように思う。
スペインの飲み屋はけっこう夜9時からなんてぇのが多いみたいだが、身体感覚から言えば夜の7時で、飲みはじめるには良い時間だ。ということはちょっと勢いが乗れば、たちまち午前様ということになる。これでは次の日の仕事に差し支えるだろう。
スペインが景気悪いのもそのせいではないか? と程度の低い分析をする。

ギリシャ債務危機に関しては、もっぱら先進国や銀行の対応ばかりが報道されています。そういうニュースを聞いていると、ギリシャは身の程知らずに贅沢してきたのだから、多少の我慢はやむをえないみたいな気分になってしまいます。

我々はプロレタリアートであり、ギリシャの民衆のお仲間なのに、資本家気分になってしまってはいけません。

以下の一覧表は、ギリシャ共産党のホームページから引用したものです。英文の解説がついていますが、おそらくギリシャ語の機械訳ではないでしょうか、とても読めたものではありません。



「新メモランダム」の攻撃リスト

労働者階級とすべての人民にとっての地獄の日々が準備されつつある。罠を仕掛けるのはトロイカ強権政府の暗黒戦線だ。

彼らは人民攻撃の方法に関して合意した。それはこれから果てしなく悪化する攻撃、今年6月までに実施されるだろう「新協定」の前触れに過ぎない。

「新メモランダム」は12月初めに投票により成立した。それには人民に困窮をもたらす以下のような攻撃がふくまれている。

A.給与

①基本給の22%引き下げ。

②初任給の10%引き下げ、つまりこれから就職する人は32%の引き下げとなる。

③各分野での個別賃金上乗せ協定の廃止。

④賃上げの2015年までの凍結。

⑤正規雇用のパートタイム化の容認。

⑥定期昇給の無期限停止。

⑦団体交渉による賃金決定を3年間凍結。

⑧その他団交の合意事項は1年間凍結。

⑨賃金水準に関しては6月までに南欧諸国との比較の上再提示する。

B.年金と社会負担

①年間3億ユーロの年金圧縮。新規削減は基礎年金と付加年金の双方に及ぶ。

②いくつかの年金基金の基礎年金は年頭にさかのぼり適用。

③すべての付加年金基金を6月までに併合。「制度維持の条件」に関する検討を開始。「将来起こりうるいかなる不均衡にも速やかに対応できるようにするための調整因子」を導入する。すなわち付加年金と退職金に対する新たな切り下げの準備。

④企業主の社会保障負担の2%削減。これは「勤労者持ち家機構」などへの企業主負担の廃止を通じて行われる。これら機構は廃止される。

⑤民間企業年金基金(IKA)への企業主負担をさらに3%削減する。これは次年度初めより実施。

C.公務員、旧国営企業労働者、銀行従業員

①旧国営企業、銀行における終身雇用制の廃止。給与の削減。

②公的部門において、今年さらに1万5千人の削減。「労働予備軍」への編入。

③公的部門の契約労働者の解雇。契約の非更新。

④公的部門労働者の給与の特別加算廃止により、総額6億4千万ユーロの削減。

⑤公的部門における賃金表改定によりさらなる給与削減。

⑥公的部門労働者を2015年までに15万人にまで削減。「5人退職に対し1人採用」のルールの適用。

⑦公共部門において自動雇用を保証している軍事学校、警察学校の入学定員を縮小。

⑧各種の公的機構、施設の2012年6月までの閉鎖。

D.2012年度に行われる付加的措置

①医療セクターの縮小。医薬品費の11億ユーロ削減。

②「収入にもとづく給付基準」の法律化による社会福祉の削減。

③三人以上の子を持つ家族への給付削減。

④政府の活動費および消費支出を3億ユーロ抑制。

⑤教育文化相の管轄下のいくつかの施設を閉鎖し、2億ユーロを削減。

⑥病院の医師に対する時間外手当を5千万ユーロ削減。

⑦公共投資プログラムの4億ユーロ縮小。

⑧国防のための装備に対する支出削減。

⑨6月の新租税体系発足。労働者のための租税優遇措置を全面廃止する。いっぽうで大企業に対する税額控除が増加する。


民主党の皆さん、これが「一体改革」というものです。良く参考にして、経団連に褒められるように、もっとすごい案を作ってみたらどうでしょう。

1月の貿易統計速報(財務省)が発表された。貿易赤字が1.4兆円に膨らんだ。赤旗見出しでは欧州危機と円高が理由としている。
しかし数字を見てみると、どうもそうとは言えないようだ。

輸出が10%減って、輸入が10%増えたのだから赤字になるのは当然だ。輸入の増大はほぼ原油高と天然ガスの輸入増加で説明できる。いわば震災被害だ。
問題は輸出の方で、対中国輸出が20%減っている。中国をふくめアジア全体でも13.7%減だから中国への輸出減がいかに大きな影響を与えているかだ。

ここから二つのことが言える。
中国やアジアの日本からの輸入は生産財が中心であり、中国の経済成長にとって不可欠のものだ。これが落ちたことは円高では説明できず、成長の停滞がもたらしたと考えるべきだということ。それは、08年のリーマンショックと現下のユーロ危機の複合としてもたらされたものであり、注意深い観察が必要だということである。これが一つ目。
もう一つはアジアとの経済関係を見るとき、そこへは莫大な資本が投下されており、いまや貿易外収支と連結して評価しなければ意味がなくなっているということである。
しかし大多数の国民はその恩恵に浴せず、その結果起こる円高不況の犠牲者としてひたすらに生きなければならなくなっている。

日本は経団連と心中するのか

後者の問題は経済・財政の課題として別個に考えなければならない。所得の再配分と「内需の拡大」だけではだめで、生産への再配分が必要になってくる。既存の大企業を中心とする経団連には、この発想は生まれることはないから、政府・経産省のイニシアチブがどうしても必要だ。

経産省(昔の経企庁は今はどうなっているのだろう)が今の財界すりよりの姿勢を改めて、「日本丸」の行く末を力強く打ち出すことが必要ではないか。その際、アジア全体が底上げされるような政策シフトを断行すべきだろう。

時代は変わった

参考までに1月の対中輸出は2割減っても7千4百億円、対米輸出は7千5百億円であり、もはや勝負はついている。アジア全体では2兆3千億円だ。いまやアメリカなど目ではない。対米輸出に期待しているのは自動車産業くらいだ。
TPPの経済的メリットはほとんどゼロ、マイナス要因ばかりのTPPを推進するのは、中国の経済的封じ込めを狙うアメリカへの義理だてが唯一の理由だ。「そんなことをしている時代ですか?」、と言いたい。

大阪思想調査のちょっとしたフォロー その3

大阪市労組はがんばっているぞ

…と、ぶつぶつ言いながらグーグルを続けると下記のサイトにめぐり合えた。

大阪市役所労働組合(大阪市労組)

全労連系の組合で、1990年に結成された。
こちらのほうはしっかりと思想調査への反対運動をやっている。
また思想調査の用紙もそのままpdf ファイルにして掲載してくれている。ただ、資料としてはよいが、みんなに読んで貰うためには、要所を押さえたダイジェスト版があると良い。掲示板で実態を知らない人が形式論で切りつけるとき、その資料が役に立つと思う。

大阪市役所労組の批判声明の内容を紹介しておこう。

1.アンケートは「業務命令」で処分をちらつかせ、全員に記名による提出を強制しています。
この「アンケート」の、アンケートとしての形式上の問題が指摘される。
つまり、アンケートとしての要件をまったく満たしていないことが分かる。
①任意ではないこと、提出しなければ「業務命令違反」とみなされること。
②無記名ではないこと、したがってプライバシーはまったく保護されていないこと。
③抽出調査ではないこと。したがって個々人の勤務評定と1対1で対応すること。

2.アンケート項目は職員のプライバシーや個人の思想信条、組合所属までも必須項目として回答を求めています。
このアンケートの「質問」に関して、内容的な問題が指摘される。
①答えたくない私事について「答えない」という選択が認められない。職員のプライバシーを侵害している。
②個人の思想信条を明らかにすることを必須としている。憲法で保障された「内心の自由」が守られていない。

3.他の職員の政治活動や組合活動の告発(チクリ)を強要する内容になっています。
これについては「その1」に書いたので省略する。

4.憲法違反であり職務に関係のない職務命令は無効
このアンケートの実施に当たり、当局は地公法第32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)を根拠としている。
しかしこの根拠には前提がある。
①この条文は「法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」とされ、諸法・諸規定が上司の命令に優先されている。
つまり諸法・諸規定の命ずるところにより、上司の命令に逆らわなければならない場合もあることを明記しているのである。
②職務命令は職務に関連してのみ有効であり、このアンケートに答えることが職務に関係しているか否かについては強い疑問がある。逆に言えば職務に関連した記名・悉皆調査ならそれは「アンケート」とはいえない。

以上大阪市労組の主張を紹介してきた。この主張は被害者意識で書いたものはなく、しっかりした内容の批判だと思う。

引用ついでに結成宣言の一部も紹介しておく

1989年末、大阪市役所では公金だまし取り事件が起こりました。大阪市民の支払った税金で、市の幹部や市会議員が、夜な夜な高級クラブで飲み食いしていた事件でした。市の外郭団体にツケ回しをした後藤事件、ナイトラウンジ“夕子”の架空口座をつくり公金を 振り込んでいた片岡事件。そして、その公金で接待を受けていた、日本共産党を除く議員関係者などなど・・・。

 市民は怒り真相解明を求める運動が起こり、私たちもその取組みに参加しました。しかし、事の真相解明を求める組合員の声に反して、当時の大阪市労連(連合・自治労)の幹部は、大阪市当局をかばいました。

「どうして組合は真相を追究しないのか」との疑問に応えるように、ある市幹部の話で、組合の幹部も公金で接待を受けていたことが明らかになりました。大阪市には「自浄作用がない」とさえいわれていました。

 大阪市労連・市職のこうした公金詐取事件への対応と政府財界が擁護する全国組織である「連合」に大阪市労連・市職が加入を決定していく中で、「連合は労 働組合ではない」と、まともな労働組合を求める声は日増しに高まりました。わたしたちは、大阪市役所にも本物の労働組合が必要だと痛感しました。


むかしグリコ事件の頃、大阪府警が散々たたかれたことがあったが、大阪の役所や組合は、その頃から今に至るまでたたかれっぱなしのようで、橋下市長に対する市民の共感はその辺に土壌があるようだ。

大阪思想調査のちょっとしたフォロー その2

大阪市職労の不思議

この問題に関して当事者の一つである大阪市職労がどう発言しているかを調べた。
グーグルで大阪市職労と入れるとホームページが出て来るが、まったくコメントがないのである。これにはびっくりした。
どうなっとんねん?

と思ったら、その下の個人ブログでは以下の記事があった。

 大阪市長選で、平松後援会への参加を市職員に徹底させる市労連の内部文書が作成されていました。文書は職員名簿を使って、後援会への紹介カードの配布・回収を確認する内容でした。

 この文書には、市労連側の指示として「紹介カードを提出しない等の非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝 え、それでも協力しない場合は各組合の執行委員まで連絡してください」などとの注意事項が書かれていました。

ということなので、市職労としてはこの問題で下手に騒ぐとやぶへびになると思って、沈黙を守っているのかもしれません。とすればこれもひどい話です。

思想・信条の自由というのは根本的な原理だし、それがあってこそ労働組合が存立しうるのだ。多少の返り血は浴びてでも、この問題で闘わないと。 





大阪思想調査のちょっとしたフォロー その1

「ブラックリスト」はすでに作成された

3万数千人に上る市職員を対象に情報が収集された。「凍結」されたのは回答期限日である。その時点ではすでに多くの職員が「職務命令」に従って回答を提出していたはずだ。
その中には少なからぬ「たれこみ情報」があっただろう。それは「個人情報」を守るべき公務員として、本来行ってはいけない行為だ。応じた側にも、公人として違法・違憲を問われる可能性がある。

赤旗に各界人士の意見が寄せられている。
その中で立命館大の大久保教授の見解が注目される。

この調査の悪質さは…「交わりの罪」と呼ばれているものです。1950年代の米国で、議会の「非米活動委員会」が共産主義者や同調者に友人・知人の名前を自白するよう迫り、これを拒否すると「議会侮辱罪」で起訴され、職を失いました。
これは東ドイツの秘密警察も想起させます。市民の自白を元にさらに多くの人が尋問され、市民同士の疑心暗鬼による恐怖政治が行われました。

ここの所は法曹関係者に明らかにしてもらいたいのだが、個人の情報を第三者に開示することは犯罪行為を形成していないだろうか。たぶんグレーゾーンだろうが、公務員法、個人情報保護法その他に抵触する可能性は高いと思う。秘密を知られたことによる民法上の損害が生じる場合のあつかいもむずかしいが、違法性が高いだろう。

実名をあげられた人の救済が必要だ

何より、このアンケートにより不利益をこうむった可能性がある人が存在する。名前をあげられた人は間違いなく被害を受けている。公的権力から「不良分子」の烙印を押されたも同然の人々だ。それは社会生活の破壊さえ招きかねない半端でない被害だ。
しかも自分の名が上げられているかどうかすら分からない。アンケートによる「被害者」が情報開示をもとめれば、行政としてはこれを拒むことは出来ないのではないか。

この記事は珍しく赤旗一面に載っている。
総務省の労働力調査の報道である。
非正規雇用の35%というのは実数でいうと1733万人。就業者の3人に一人である。
10年前が30%で、その後の10年で5%増えている。

非正規雇用というのはそれ自体が正規雇用と失業のあいだの曖昧な部分を統計化するので、その意味は多義的である。また団塊の世代が定年を迎えつつあるいま、それがどのように反映されているかも見ていかなくてはならないだろう。

実数である1733万人を準雇用と見るか準失業と見るかで、捉え方は違ってくるだろう。
性別で見ると、それがはっきりする。
男性では非正規は20%、女性は55%だ。しかも女性の場合、同じ非正規でも限りなく正社員に近い契約・派遣労働ではなく、限りなく失業に近いパート・アルバイトの比率が高い。
まともな職につけないという点では女性は悲惨ということができる。
しかし失業という点で言えば、男性は正規か、然らずんば完全失業かということになる。中途半端な生き残りが許されない、大変厳しい状況に置かれていることになる。
どっちを向いても真っ暗闇なのである。

いま雇用を守るということが差し迫った課題となっている。雇用を守るということには、三つの意義がある。
一つは何よりも生活を守ることだ。
第二の意義は、日本の生産を守るということだ。雇用なくして生産なし。雇用の量的減少と雇用の質の低下はそのまま日本の生産力低下に直結する。
第三の意義は、雇用は人間の尊厳の最大の根拠だということだ。人間は働き自活することによって、その尊厳を維持する。雇用の減少と劣悪化は、右翼風に言えば「日本民族の危機」だ。

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