鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

AALA関連記事は「aala_newsの編集日記」http://blog.livedoor.jp/aala_news/ に移りました(6Nov.2023) 中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 「ラテンアメリカの政治」(http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ )がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2011年11月

欧州金融市場でイタリア国債が売られている。
10年もの利回りが6.6%にまで上昇した。これはユーロ導入後の最高水準であり、持続不可能とされる7%水準に近づきつつある。

ギリシャ、アイルランド、ポルトガルでは、10年もの国債利回りが7%を越えたとたんに、利回り上昇に歯止めがかからなくなった。このことから、金融専門家は7%を「債務危機転落の分水嶺」と呼んでいるそうだ。

7日のユーロ圏財務相会議は、EFSFの保証を1兆ユーロにかさ上げすることで合意したが、財源は依然未定である。頼みは新興国とIMF、しかしともに慎重な姿勢は崩していない。とくに新興国は、「最後の貸し手」についてのドイツやベネルックスの本気度を疑っている。

最終的にIMFが出動するとなれば、ユーロはドルの補助通貨となることになる。加盟国にとってユーロに留まるメリットは失われる。

それはそれでよいのだが、IMFが出動するということは、現在の出資比率を維持するなら、ドルの大量発行ということになり、連邦債の格下げとなってアメリカの首を占める。他方ではユーロ圏の経済規模が一気に縮小することになり、国際決済の2割以上を占めていたユーロが紙くずになることになる。

スティグリッツの予言ではないが、世界は歴史のツケを払わなくてはならなくなる。

当面は、一刻も早くユーロの紙幣を印刷しまくる体制を作るしかない。その前にギリシャの経済再建方針を出して、この問題にカタをつけるべきだと思う。

TPP、やっと憶えたら、どうやらぽしゃるような雰囲気。
日本もまんざら「あほ」ではないと証明できてうれしい。
NHKニュースが悔しそうに自動車工業会のコメントを放映している。民主党の前何とか大臣、亀井静香、その他褒めてやっても良い人がたくさんいる。
原発とあわせて、財界・マスコミ連合軍相手に二連勝だ。まだ祝杯には早いが。
民主党の地すべり的大勝利も、小泉・自公路線礼賛論との戦いという意味では勝利といえるので、三連勝といえるかもしれない。
その中でも今回の勝利は大きい。アメリカとの闘いにおける勝利ともいえるからだ。皮肉なことだが、アジアへの窓口を広げるといううたい文句のTPPを阻止することで、逆に日米同盟主軸から「アジア同盟」への門戸が開かれるということになりそうだ。TPPを蹴っ飛ばした足がどこへ向かうかが、必然的に問われるからだ。
自動車工業会がTPPを最後まで主張したことで、誰が日米同盟を主導しているのかも明らかになった。「6重苦」を唱えるトヨタと自動車工業会である。

日米構造協議を勉強して財界がどこまでひどいかが分かった。彼らは半導体協議で日本の半導体の未来を売ったのである。
半導体ばかりではない。日本では飛行機も作れない。ロケットも作れない。ペースメーカーも作れない。原発で分かったのは原子炉も作れないということだ(こんなものは作れなくてもよいのだが…)。
元々は作れないのではなく、作らないことに決めたのだ。なぜか、アメリカに自動車を売る見返りだからだ。自動車産業は自分のために子供を売り、今度は親を売ろうとしている。
国際競争力というが、こうやって裾野を切り落としていくことは、結局国力を削ぎ落としていくことになるのではないか。
そうまでしてしか国際競争力を保てない産業は、すでに国際競争力を失っているともいえる。であるとすれば、そういう産業分野に何時までも未練を持つことはお互いのためにならないと思う。
これから始まる一体改革との戦いも、根本的にはそこが問われる戦いとなるだろう。問題は増税ではなく、法人税減税と金持ち優遇税制である。企業と富裕層から払うべきものはきちっと払ってもらう。その上で金が足りないなら、国民は甘受するしかない。
これがガバナンスというものである。

「いつもニコニコ現金払い」ならば、貨幣は価値尺度として機能するだけである。
支払いが分離した下では、貨幣は一時的な媒介的な形態ではなく、価値の宿ったもの、「絶対的商品」として現れる。
貨幣が持つこの二面性は、売買のシステムの破綻したとき、すなわち貨幣恐慌において爆発する。
貨幣は、突然にかつ媒介なしに、計算貨幣というただ観念的な姿から硬貨に急変する。

たった今まで、投資家と金融機関は繁栄に酔いしれていた。金融資産や商品を富と錯覚し、貨幣などは空虚な妄想だと断言していた。
ところが今世界市場には、ただ貨幣だけが商品だという声が響きわたる。鹿が水を求めて鳴くように、彼の魂はこの唯一の富、貨幣を求めて叫ぶ。

貨幣の現象形態は何であろうとかまわない。支払いに用いられるのが何であろうと、金であろうと、銀行券などのような信用貨幣であろうと、貨幣飢饉に変わりないのだ。
マルクス「資本論」第一部

恐慌は(物々交換に始まる)販売と購買が時間的・空間的に分裂し、そこに中間項が挟まれることから生じる。
しかし販売と購買の分裂は恐慌の原因ではなく、「もっとも一般的・抽象的な表現における恐慌そのもの」である。
したがって、問題はこう立てられなければならない。

「なぜ、恐慌の抽象的な形態、恐慌の可能性をふくむ形態が、抽象的可能性のレベルから現実のものに転化するのか」

それは資本主義的生産の一般的な諸条件から説明されなければならない。

貨幣が発展して支払い手段となったときから、恐慌は貨幣恐慌となる。
貨幣の発展から生じる恐慌の「形態」変化を、経済学者たちは恐慌の原因だと言い立てるが、そんなことに心を煩わせるのは、まったく余計なことである。
マルクス「剰余価値学説史」より

(恐慌は)個別的な経済現象ではなくて、ブルジョア的生産過程のあらゆる要素の矛盾が爆発する世界市場の大暴風雨である。
それなのに人々は、この大暴風雨とそれを防御する対策を、見当はずれの方向にもとめている。それはこの過程の最も表面的でもっとも抽象的な領域、つまり貨幣流通の領域である。
経済的気象学者たちの学派の理論的前提は、「純粋な貨幣流通の諸法則」というドグマに他ならない。彼らに残された仕事は、信用流通や債券流通をこれらの「諸法則」に従わせることだけであった。
マルクス「経済学批判」より


「純粋な貨幣流通の諸法則」に代えて、エネルギー保存の法則を当てはめるなら、生産へのエネルギーは、民衆の怒りと社会変革への欲求という形で蓄積されているのであろう。
それが解放されたときどうなるか、たとえば南米の社会変革と経済発展が示唆しているのではないだろうか。



2,3日前のブログでオークランドのストライキの記事を紹介した。

そのとき気になったのは、占拠運動の若者たちにストライキを決行するような才覚があるのか? ということと、なぜ1万人のデモ隊がオークランドの港に向かったのか? ということである。

そこでネットで調べて見たところ、以下のような動きが明らかになった。

日本語情報の多くは、中核系諸君のサイトを参考にさせていただいた。彼らはどういうわけかアメリカの港湾労組とコンタクトがあり、そこから情報を収集したようである。

以下、時系列で紹介する。


10月10日 青年たちが「オークランドを占拠せよ」行動を開始。その後10日あまりの間に市庁舎前の広場に150のテントが設営される。

10月25日 オークランド市警、市庁舎の前に張られていた占拠運動のテントを撤去。警察は、催涙ガス銃を人々に向けて至近距離から発射、抵抗する参加者90人を逮捕する。

10月26日 占拠運動の参加者グループ、港湾労働者の支援を受け市庁舎前広場を再び占拠。11月2日に市民ゼネストを決行すると宣言。

10月27日 デモ参加者に対する警官隊の攻撃。デモ参加者で帰還兵スコット・オルソンが頭蓋骨骨折で重態となる。オルソンは海兵隊員として二度にわたりイラクに派遣された経歴を持つ。

10月28日 港湾労働組合の幹部が連名で、1934年のゼネストの伝統を引き継ぎストライキを決行すると宣言。

10月29日 港湾労組、チームスターがストライキ突入。港湾機能がストップする。

11月01日 ストライキ前日までに教員組合、市役所労働組合、チームスターズ、建設労組、看護師組合、食品労連などがストライキ決議。アラメダ郡中央労組評議会(100労組、10万人)がストライキ支持の決議。

11月02日 市民ゼネストが決行される。港湾当局は安全が確認されるまで港湾を閉鎖する。


レーニンがどこかで「労働組合は活動家の最高の養成場所である」というようなことを書いていたが、今アメリカでそれが実証されているのは皮肉なことである。

スティグリッツが半ばやけっぱちな発言を行った背景は、欧州中銀(ECB)と各国中銀の強い抵抗にある。

10月12日、欧州委員会のバローゾ委員長が銀行自己資本の増強手順を示した。

銀行資産査定のやり直しを前提に、1)銀行による増資、2)当該国政府の公的資金注入、3)EFSF資金を使った注入の3段階からなるもの。

さらにバローゾは欧州安定メカニズム(ESM)の発足を前倒しする方向を示した。ついでに言ったみたいに聞こえるが、これがバローゾ発言の核心だ。そこまで踏み込まなければ展望は出せないよということである。

マーストリヒト条約は、通貨の一元的発行とその下での各国財政政策の調整をふくめていない。したがって、たしかに条約の改正なしにはESMの実現は困難だ。

しかし、ESMに準じたメカニズムを編制し発動することは、可能だし不可欠となっている。というのがバローゾの判断だろう。それはスティグリッツも同じだ。

バローゾはさらに、「条約の改正が現在の問題の“唯一の解決策だ”と指摘するのは全くの間違いだ」と指摘した。これは明らかにECBに対する当てこすりである。

「中期的」に条約改正の必要性は否定しない。「本格的なユーロ共同債」の発行にはそのような措置が必要だ。

「しかしわれわれには今の段階で下せる決定がある。今すぐにだ」

このバローゾのアジェンダ提案にたいし、欧州中銀幹部はいっせいに反発した。いやらしいのは、反対の根拠が形式論理だということだ。

反対派の中心人物はシュタルク専務理事。かれは17日に欧州議会に出席し以下のように証言した。

①ユーロ共同債では問題は解決しない。政府の資金調達方法として実現可能なものではない。むしろ財政改革へのインセンティブを弱める。

②ECBにこれ以上の方策を要請するのは中央銀行の領域を踏み越えるものであり、中銀の独立性にとって問題。。

③ユーロ圏諸国が新たな危機を防止するには形だけではない真の政治統合が必要だ。そのためには純粋な経済統合が必要だ。これはマクロ経済上の目標に関する国家主権を放棄することを意味する。

④そしてユーロ圏諸国の経済主権の一部の「移管」をもとめる。政治的な統合が進めば、ユーロ圏共同債はひょっとしたら可能かもしれない。

その前日、フランス銀行のノワイエ総裁も、ユーロ圏各国が共同債の発行を検討できるようになるためには「極めて強い統合が必要だ」と述べた。

29日には、クノット・オランダ中銀総裁(ECB理事)が以下のように発言している。

①ユーロ圏共同債は加盟国の流動性問題・財政問題が他国に波及するのを防止する効果がある。共同債は持続可能な手段と考える。

②ただ、健全な国家財政を確立するための制度的枠組みの構築が必要だ。実施はその後の話だ

③危機は財政政策や銀行の脆弱性に起因するものだ。したがって金融政策が解決策にはなり得ない。

一見、シュタルクより当たりは柔らかいが、言っていることは同じだ。ECBといえども、理事はそれぞれの国の中銀代表であり、その国の金融界の代表であり、その地位を手放す気はありませんよと言っていることになる。

彼らは一つとして価値判断を行っていない。彼らの言い分は二つしかない。一つは共同債は手続き上で筋違いです、ということ。もう一つは中銀は政府ではなく、独立した機関だから、EUがどうなろうと責任を負う必要はないということである。

おそらくスティグリッツは(そしておそらくバローゾも)頭に血が上ったものと思われる。ただスティグリッツは捨て台詞がはけるが、バローゾにはそれは出来ない。


共同債はいいことづくめのようではあるが、一番肝心なところ、それが国際的に信任を受けられるかどうか、トリプルAが持続できるのか。できるとすればその保証は何か。 もう少し勉強が必要だ。



アメリカのNPO「公正な課税を求める市民」が大企業の法人税を調査した。
対象はフォーチュン番付の全米上位280社。対象期間は08,09,10年の3年分。
その結果GE,デュポン、ボーイングなど30社が3年間法人税を払っていないことが明らかになった。これら30社の3年間の総利益は1600億ドルに達する。彼らだけで560億ドル(5兆円)も税金を免れた計算だ。日本で言うと消費税1%で2兆円とされるので、2.5%分に相当する。

ほかにも3年のうち法人税ゼロの年があった企業は78社に達する。

280社を合わせてみると、3年間の平均実効税率は18.5だった。法定税率は日本と同じ35%だが、実際には各種の優遇措置により半分に減らされていることになる。

国家の仕組みが、法定税率による税収が正常に存在していることを前提として運営されている以上、これでは財政赤字が増えるのは当然である。

まずは実効的に35%の法人税がかかる仕組みを整備することが必要であろう。研究開発など各種優遇が必要であれば、法人税は40%に引き上げた上で行われるべきではないか。

Stiglitz Says European Union's Framework Is Flawed

というビデオがある。40分近いインタビューだが、情けないことに何を言っているのかわからない。
Oct. 26 (Bloomberg) -- talks with reporters about the European debt crisis and Federal Reserve policies. He spoke in Toronto on Oct. 25.

おそらくこの談話を要約したものが、例の「予言」になっているのだろうと思うが…

Nobel Prize-winning economist Joseph Stiglitz said the euro currency could dissolve “any time now,” and that the nations of the euro area are unlikely to “really” solve their sovereign debt crisis.

Speaking to reporters in Toronto, the Columbia University economics professor said a big crisis in Europe would likely spread across the world.





日ハムは、結果的には良くやったといっていいだろう。

打線
個人成績は惨憺たるものである。レギュラー陣に打率1割台がごろごろいるんだから、そもそも勝てるのが不思議である。
前半は投手陣のがんばりで持ちこたえたが、結局最後まで打線は甦らず、投手陣も最後には崩壊した。
打率の良い順に日替わりで打線を組むという方式は、結局は打線をだめにした。それなのに陽を2番にすえ続けるということだけは、かたくなに守った。大野を使い続けるのも最後までやめなかった。
梨田監督は4年間で「イテマエ打線」の再現を目指したのかもしれないが、日ハムには合わない。残塁数が増えるだけだ。
他にいないのなら2割3分の4番打者がいたって良い。しかし2割3分の4番打者はどういう打撃をしなければならないかを考えるべきだ。
とりあえず、走りこまないとだめだろう。贅肉がつきすぎている。小谷野さん、あんたのことだよ。
ひざが弱い。直球待ちしていて変化球が来たときに、体が泳いだときに、わずかにバットが出し遅れたときに、球をバットに載せてから返すまでに、耐えられるだけの膝の遊びがない。膝を支えるのは大腿直筋と四頭筋、走るしかない。
陽の頭は新庄同様鍛えようがない。6番あたりで好きなようにやったほうが良い。
野球は1番から4番までの4人で点を取るものだ。他の5人はたまたま打ってくれればなお良いとしたものだ。良いトップバッターと良いセカンドバッターがいてシュアーな3番と4番がいれば良い。二人が平均3割なら、6割の確率で点は入る。1試合で4回打順が回れば、それだけで2点は確実だ。
糸井は1番だ。田中が三番だ。いい右の2番を育てなければならない。肩のいいショートだ。バントを着実に決められるなら、打率は1割台で十分だ。これが高校野球だ。これをやらなかったために今シーズン何点を失ったか。2軍は打撃だけを重視せずに、早くこういう選手を育ててほしい。中田は四股フォームでストライクゾーンを狭くして、内角高目を克服したかに見えたが、やはり打ちにくいのだろう、また元に戻した。そのとたんにまた内角高目にあごが上がって、致命的欠陥になった。
内角高目を打つなら、重心を後ろに残す遠心力打法ではだめで、巨人にいたデーブ大久保の大根切り打法しかない。ここのしのぎが出来上がれば4番バッターだろうが、もし恐怖感があるのなら、これで終わりだろう。清原のように暴力的に内角高目を封じる方法もあるが…
稲葉は4番がよければまだ5番を打てる。1塁の守備も安心して見ていれる。外人二人はさようなら。

守備
大野捕手は捕手で続けたいのならよそに行ったほうが良い。とかくしきりたがるのは、女房役として出すぎたまねだ。先頭バッターへのフォアボールで失った試合が何試合あったことか。
とくに中継ぎは一球命で出てくる。「一生懸命受けさせていただきます」で十分だ。宮西や増井にコントロールを要求してはだめだ。好きなように投げさせろ。
左投手への配球がおかしい。内角高めの球が使えない。左に強いバッターには決して打たせてはだめだ。それより打ってみろよ。
金子は体調が悪くて出られなかったのか、出してもらえなかったのか。指名代打でなく、指名守備というのがあれば良いのに。テレビだと捕球の直前からしか映らないけど、球場では守備は打撃以上の見ものなんですよね。鮮やかな併殺プレーというのは、その晩寝ていてパァーっと目に浮かぶものです。クライマックス第一戦で、中継に入った金子が眼にも止まらぬ早業で本塁送球し見事タッチアウト、というのは現場で見たかったですね。
糸井はライトに行くべきでしょう。俊足強肩はわかるけど、外野は3人で守るもの。センターはその要です。シーズン中、陽との交錯が何回かあったけど、陽を叱れないのならセンターを守る資格なしです。
それにしても来シーズン、田中の守備が心配ですね。CSのエラー、あまりにも印象が悪い。セカンドの守備は目立ちますが、いいショートがいるからこそ引き立つのです。これからは金子が相手とは行かないとなると、「昔は良かったんだけどな」といわれそうな心配もあります。

投手
いないんだからしょうがありません。札幌に来たころがそうでした。とにかく2回試合をやったら1回は、最初から投手がどうしょうもなくて、試合にならなかったのです。
それを中継ぎ陣をしっかり作ることで3試合に1試合に減らしたのです。一つのカードが3試合セットで組み立てられているのだから。これでいくしかありません。
武田勝は今の猫背フォームを何とかしないとだめです。ホークスのランナーは勝の手からボールが離れるころは、もう二塁ベースの近くまで行っています。完全になめられています。外野がラミレスならそのままホームまで突っ込むのではないでしょうか。
外人二人、とくにウルフは後半戦、完全に読まれました。二人で20勝の期待はとても持てません。
中村、矢貫が何とか独り立ちして試合を作ってもらうことになりますが、
今までも投手というのは彗星のように現れて、何とかしてくれるものです。逆に言うと何年か期待されながらだめという人はたいていだめです。それが他球団に行くとなぜか再生したりするものです。八木さん、吉川さん、さようなら。
だから一軍、二軍絡めて投手コーチが大切です。おそらく投手というのはチームをまたがってグループとして育てる観点が必要だと思います。だからそういう人脈の中から投手コーチを選任する必要があります。
高校野球といいましたが、この分野だけは絶対にプロ野球の世界です。中継ぎのような一芸名人の世界は高校野球には絶対存在しません。調子が良いからといって回をまたいで投げさせるなど狂気の沙汰です。
栗山さんは、チームのダグアウトやブルペンを丹念に回って人的関係を作り上げてきた人と聞いています。ここがプロとして一番差がつくところ、栗山さんへの一番の期待です。


11月2日、西海岸の大学町オークランドで「オークランドを占拠せよ」の呼びかけたデモに1万人が参加したという。オークランドといえば、ベトナム反戦運動の発祥の地だ(正確に言えば隣のバークレイ)。50年ぶりに昔の友にあって、「元気でやってるぞ!」と声をかけられたような気分だ。
注目されるのは UC の反応。大学当局が職員1300人に自宅待機を指示したという。あのときの弾圧姿勢から見れば180度の転換だ。たぶんあの頃やられた連中が、いまは当局内部にいるのだろう。
それにしても1万人はすごいなぁ
たぶん「若者はどこにいるんだ?」くらい、おじさんたちが出張ってるんだろうな、と想像している。

米下院は前回選挙でティーパーティ派が躍進。反民衆派の牙城となっている。
この間、一貫して反オバマ、反改革で動いてきたことはご承知の通り。
とくに最近では、政府の打ち出した雇用対策法案に対して、富裕層増税に反対する立場から成立を妨害している。
ウォール・ストリート占拠運動も明らかにこの連中を標的としている。

したがって彼らへの支持率がどう動いて行くのかが、アメリカ政局の焦点となっている。
ギャラップ社の世論調査が発表されたが、議会を支持するという国民はわずか13%に下落した。

これを見たオバマは、これまでの融和的態度をやめ、対決姿勢を示すことにより自らの支持を拡大しようとしている。

こんな時期に、まだ馬鹿なことをしいることが明らかになった。「われらは神を信じる」という米国の公式標語を再確認するという決議を、数を頼みに成立させたのである。

オバマは演説でこう言ってこき下ろした。
記念コインのデザインについて議論しているわけじゃあるまいし、そんな決議で人々に職が戻るのか。雇用対策をやる時間がないといいながら、そんな決議を上げる時間はあるのか。

数ヶ月前の債務上限議論のときとは、ずいぶん雰囲気が変わった。もはや大方の国民にとって、ティーパーティは悪者・愚者になりつつあるようだ。これもウォール街占拠行動の賜物なのか。

証券三社の9月中間決算がでてきた。いずれも赤字決算となっている。野村は前年同期プラス34億円からマイナス283億と300億の減益。
対応としては、不振の欧州を中心に人件費など1千億円の削減を図る計画。

まぁたしかにリーマンの欧州資産など買わなきゃ済んだ話。ただ仕手戦を仕掛けてずっこけたMFグローバル・ホールディングスとは性格が異なる。

バンカメが発行するデビット・カード。アメリカのようなカード社会では生活上不可欠なアイテムとなっている。これの利用時に手数料をとろうというのがバンカメの目論見だった。
赤旗の報道によると
計画発表から1ヶ月で、反対運動が巻き起こり、ボイコット運動も提起されていた。ウォール街占拠運動でもスローガンの一つになった。オバマ大統領は「利潤をもとめて消費者を虐待すべきではない」と発言した。
バンカメの撤回声明では次のように述べられている。
「我々は顧客の声を傾聴した結果」計画を撤回する。「顧客の声こそもっとも大事なものであり、手数料導入の計画はこれ以上進めない」
バンカメ以外にも、ウェルファーゴ、JPモルガンなどが計画を撤回した。
消費者運動団体は
「庶民が闘うなら、ウォール街を押し返せるということが示された」との声明を発表した。

これまで個別に闘っては跳ね返されてきた諸運動が、占拠運動というコアーを共有することで一つのうねりになる可能性が示された事件と思う。
成果は確信になる。エンゲルスの「イギリスにおける労働者階級の状態」で、それは鮮やかに示されている。世界の人民は200年前のところからやり直そうとしているのかもしれない。

こちらは、ガチガチの真実報道。
国際労働機関(ILO)が雇用に関する報告書を発表した。
恐ろしい数字が並ぶ。
データが入手できた118カ国中、69カ国ではこの5年間に生活水準が悪化。先進国では国民の過半数がディーセント・ワークがないとの不満を表明している。ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなどでは70%を越えている。
一方発展途上国では、この5年間に食料品価格が倍になっている。
報告は雇用の拡大を訴え、公的債務や財政赤字削減で労働市場や社会政策に過大な影響を与えないように警告している。


ようするに、これまでのアラブ世界に加え、南欧地域でもマグマだまりが煮えたぎり、噴火寸前の状況になっているということだ。ギリシャ問題は金の問題ではなく、優れて政治的な問題なのだという認識を持たなくてはならない。
もう一つは、貿易、経済、財政などの諸問題は雇用の問題とリンクさせながら解決していかなければ、先延ばしにしかならないということだ。それには政治の力が必要だ。政治を変える民衆の力が必要だ。

野村證券が身売り?
などと物騒な見出しで週刊ダイヤモンドが特集を組んだ。
立ち読みするには長すぎる記事で、結局買わざるを得ない。
①リーマンショック後にリーマンの欧州部門を引き取って、積極策に出たが、今度の欧州危機でやばくなっている。
②欧米大銀行がしっちゃかめっちゃかな人員整理をしているのに、野村はやらないから人件費コストがのしかかっている。
というあたりが根拠のよう。あとはどこの銀行が動いたかなどというウワサ話。そして結論は「当分身売り話が本格化する可能性はないだろう」という落ちになる。

とまぁ、週刊誌の「本道」をいく特集ではある。編集長に喝采だ。空気をうまくつかんで、一歩先をいく、「デマ」の一歩手前まで話を膨らませる。

考えてみれば、小松左京の「日本沈没」や堺谷太一の「油断」ではないが、それ自体が一種の近未来小説だ。騙されたと怒る人もあまりいないだろう(野村證券は怒るだろうが…)。週刊ダイヤモンドにしてみればヤリドクだ。

(53)さらば友よ (Adios Muchachos)

ADIOS MUCHACHOS IGNACIO CORSINI

文字通り絶唱。大地の歌(ワルター=VPO)のユリウス・パツァークと同じ。この明るさと寂しさの同居というのは天賦の才能と一種の出会いだろう。出て来た頃のミルトン・ナシメントもそうだ。

Carlos Gardel - Adios Muchachos -Tango

まずは定番、ガルデルのアディオス・ムチャーチョス。

ADIOS MUCHACHOS/ Francisco Canaro

カナロ楽団のSP盤。このころの常として歌手の名前はクレジットされない。調べればわかるのだろうが…

PABLO VIDAL - IDOLO DEL TANGO - ADIOS MUCHACHOS

これは掘り出し物。音もいいので聞き流しには最適。

Adalbert Lutter - Adios Muchachos (Brilliant Tango) Zwei rote Lippen un

コンチネンタルは普通は捨てるのだが、これはコンチネンタルというよりはドイツ、ドイツというよりはナチの来る前のベルリンのにおいがする。

LOS TRES REYES - ADIOS MUCHACHOS

原曲以上におなじみなのがこの演奏。最初はこの曲はボレロだと思っていた。ライバルのロス・トレス・アセスも歌っているが、こちらはスカ。

Agustín Magaldi Adios Muchachos

これがオリジナル。ただしその半年後にコルシーニが歌い、1年後にはガルデルが歌った。これでは到底かなわない。

LIBERTAD LAMARQUE ''ADIOS MUCHACHOS''.wmv

リベルタ・ラマルケはこの曲に対して確固としたポジションがあるようだ。youtubeだけで三種類の音源がある。中では一番新しい(一番年取ってから)の演奏が説得力がある。

Responso by Anibal Troilo arr. Osvaldo Golijov

すみません。さらば友よとは関係のないつけたしです。実は石川さんの百選のうち半分くらいは落としてしまったのです。理由は面白くないからです。主だったところでいうと、インスピラシオン、レスポンソ、恋人もなく…などです。ただし、レスポンソはひとつ良い音がありました。Performed by Pangea String Quartet at University of Alaska Fairbanks New Music Festival. Noh, Holmes-Hicks, violins; Kuefler, viola; Chung, cello. となっていますからほとんどアマチュアのお姉さん方でしょう。しかし良いのです。パフォーマーには申し訳ないけどアレンジが良いのでしょう。(…と思ったら、他の曲もいいですね。このSQ、第一バイオリンが図抜けてよい。Noh さんというようです。東洋系の顔ですが、最近はみな化粧がうまくなったから、日本人か韓国か中国かは顔見てもわからない)
 ここからは、石川さんの百選とは別に私が選んだ曲です。石川さんはそのころの人ですからオルケスタ・ティピカが基本だと考えていたのでしょうが、私の好みとしては相対的に歌のタンゴが多いので覚悟してください。

(54) 素敵なくちづけ (Besos Brujos)

HP: この楽団には珍しく、女性歌手の登場です。シックな演奏です。デアンヘリスのディスクでは他にCalvario、Campanita、Cuando Te Fuiste、Del Pasado、En Tus Brazos、Esta Noche、La Piel de Buenos Aires、Made In、Mi Carinitoなども捨てがたいのですが、全部入れると百には収まりきれないので、いずれデアンヘリス30選とか組みたいです。

Libertad Lamarque Besos Brujos

アルフレド・デ・アンヘリス楽団の演奏がしゃれていて良かったのですが。うpされていません。この楽団はほとんどyoutubeにはないようです。ラマルケの歌はこの曲にはあっていないと思いますが、他にないので…

BESOS BRUJOS

ありました! Ricardo Tanturi y su orquesta tipica, cancionista Elsa Rivas という演奏で、これがこの曲のオリジナルのようです。おっとりと上品で、こういうタンゴもあるのです。

BESOS BRUJOS

この曲からタンゴっぽさを引いて蒸留した感じの演奏。悪くはありませんが…

Beachers - Besos brujos - SALSA, GUAGUANCO

これはサルサ・バージョン。いいですねこの軽めの乗り。キューバのホテルのプールサイドで、夕暮れのそよ風を受けながら、ロンのロックにミントを浮かべて… 「おいおい! しぶきがかかるじゃないか」、なんちゃってね あぁ行きてぇ!

Blanca Rosa Gil - ( Besos Brujos ) - Foto.mpg

そんでもって、9時近くなるとプールサイドのステージにライトがついて、ガサゴソとやっていたかと思うと、突然すさまじい音で楽団の演奏が始まるから、うるさくってね。
10時くらいになるとトリの歌手がお出ましという寸法。何せ日本人は酒に弱いから、夕方からカクテル飲んでいると、もう辛いのだけど、「どうせ眠れるわけないのだから」と、外に出る。

Federico y su combo Besos brujos

見事なソン・モントゥーノだ。12時まで踊らされて、部屋に戻った記憶もないが、連中はこれから地下のKARAOKEに行ってまだ踊るようだ。

Besos Brujos - Los Beachers - Combos Nacionales Panamá

同じくサルサといっても、パナマの連中のやるのは半端じゃない。こいつらのリズムはラテンのバンドでもてこずる。ましてジャズメンにはてんで歯が立たない。これに勝てるのはハイチのBoukan Ginenくらいかな。彼らが生きているとしての話だけど。

"BESOS BRUJOS" - LUCIANO PEREYRA - MONTAJE: SOFIA SCHMID

エントレリオスあたりの、湿気をふくんだフォルクローレです。同名異曲だと思いますが… どことなく似ていなくもない… やはり同じ曲だ!

Burguesa - Besos Brujos. Video Oficial

そういえばこのロックも…

EMILIO GALVEZ BESOS BRUJOS.wmv

そういえばこのランチェーロも…


ギリシャが再建案の受け入れをめぐり国民投票を行うと発表したことから、G20を前に蜂の巣をつついたような大騒ぎとなっている。
しかしこれはむしろ当然のことであろう。

一番は、棒引き率が低すぎることだ。

当初、棒引き率が50~60%と報道されたときには「ほぉやるもんだね」と思ったが、結局銀行側の巻き返しで50%にねぎられた。このあたりの不信感がギリシャにはあるのではないか。そもそも50%の棒引きでギリシャが持つのか。こんなところで値切っていても、結局「一門惜しみの銭失い」になるのではないか。

EU諸国としては結局はギリシャより自国の銀行のことのほうが大事だから、棒引きはしないに越したことはない。これは支援というよりエゴだ。
しかしEU全体としてみた場合は、市民を守るのか銀行を守るのかという話になる。少なくともギリシャは「そうじゃございませんか?」と問うていることになる。

もう一つは、財政支援といいながら景気回復への投資は一切含まれないことだ。

これではがんばればがんばるほど歳入が減り、財政赤字は膨らむという構造になる。かつて中南米でIMFが推し進めた政策と一緒だ。

ギリシャにはデフォールト・自己破産宣告というオプションも残されている。どちらが得かといえば破産しないで財政支援を受けながら再建したほうがいいに決まっているが、国民の立場に立った財政支援がないのなら、いっそ破産宣告して、ユーロ圏から離脱しまったほうがいいということにもなりかねない。
かつてキルチネルがやったように、「その際はEU側にも相当血が流れますよ」という捨て身の脅しもある。

この路線の選択を、後々引きずらないようにするためにも、国民投票はやっておいたほうが良い。パパンドレウ首相にも道徳的力が備わり、その後の運営が容易になる。

EUの側としては、ギリシャの経済再建をどう進めるのか という視点をまず打ち出すことだ。そしてその中で財政再建を実現していくというアジェンダを提示すべきだ。当然、棒引きは60%に引き上げるべきだろう。

いまのところ、独仏首脳は「いやなら金出さない」と偉そうにしているが、実は伏し拝んででもお願いしなければならないのはテメエたちの方だ。

何も検討が振り出しに戻るわけではない。いずれにしてもギリシャは序の口だ。「最終の貸し手」作りが本題だ。

スティグリッツの発言 (ニューデリー 11月1日)

ユーロ地域ソブリン負債危機について

スティグリッツは、欧州連合がギリシャ問題でタイムリーに扱わなかったと述べた。

「ユーロ通貨が創立されたとき、大部分の経済学者はとても難しいプロジェクトとしてそれを見いだした。
彼らは、利率と為替比率を取り去ったが、それに代えて何らかのシステムを置くということをしなかった。
「彼らはギリシア危機に取り掛かるのが非常に遅かった。そして今、危機は広がっている。
彼らが踏んだステップは、彼らが直面する深刻な問題に取り組むためには十分とはいえないだろう。

G20は解決策を見出すだろうか?

11月3日にパリに集まるG20の指導者たちはソブリン債務問題に関して一定の解決案を出そうとしている。

資本の流れの「不安定化」に関する問題とトービン税を課す必要は、G20財相・中銀総裁会議で議論された。しかし、加盟国の中の意見の違いのため、決定は下されなかった。

世界経済が二番底に滑り落ちるのではないか?

危機は2008年にアメリカの投資銀行の象徴であったリーマン・ブラザーズの破産で開始された。第二の世界危機はもっと大きいだろう。

RBIのサバロ総裁(D Subbarao)を含む数人の専門家は、もはや解決のための時間は過ぎ去りつつあると強調している。

2つの大きい発火点がある。それは以下の通りである
景気後退についての米国での新たな不安、そして、ユーロ地域のソブリン危機の深化。

トロントでの講演のかなり長い要約が下記にある。
http://www.huffingtonpost.ca/2011/11/01/cibc-world-markets-provinces-condition-populace-austerity_n_1069642.html

ただしここには記者との質疑応答はない。ブルームバーグの特ダネだろう。
それにしても、かつてスティグリッツなど見向きもしなかった財界が争ってスティグリッツの発言に群がっている。文芸春秋にまで載る御時勢だ。これもニューデリーのネルー大学での講演だが、こんなところまでフォローされている。
ウォールストリート占拠闘争の青年たちにはカリスマ扱いとなっている。
地下のマグマが動き始めている感じがする。



10月25日の日付で二つの記事がある。
いずれもブルームバーグの配信で、時間的にはひとつがトロントで開かれた会議での発言要旨、もう一つは会議終了後の記者団との会見記事のようだ。
短いので全文紹介する。

①ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は25日、緊縮政策が世界の主要各国にとって「自滅の約束だ」との見解を明らかにした。

  同教授はトロントでの会合で、「われわれが事態を乗り切り、経済成長を回復させる唯一の方法は経済を刺激することだ」と指摘。「欧州と米国などで行われている緊縮政策は事実上自滅の約束だ」と指摘した。

②ノーベル経済学賞受賞者のジョゼフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は通貨ユーロについて、今にも分裂する恐れがあると指摘し、ユーロ圏各国がソブリン債務危機を本当に解決することはないだろうとの見通しを示した。

  同教授は25日にトロントで記者団に対し、欧州の危機が世界中に拡大するだろうと語った。

①についてはこれまでの持論であり、別に目新しいものではない。問題は②だ。

中身は三つある。

A.ユーロは今にも分裂する恐れがある

B.ユーロ圏各国がソブリン債務危機を本当に解決することはないだろう

C.欧州の危機が世界中に拡大するだろう

この発言についてのフォローは、日本語の報道では存在しない。

すこし英語を読みますか…

ユーロ圏首脳会議は27日、ユーロ防衛について共同する意思を確認した。

しかし、ユーロ共同債には踏み切れなかった。ユーロ共同債が発足できなければ、ユーロの追加発行は困難となる。ユーロの流動性を確保するための、欧州中銀の「最後の貸し手としての役割」は果たせなくなる。

現行の欧州金融安定基金(EFSF)を拡充し、財政不安国の国債を買い取る方式が、引き続きとられることとなった。それで果たしてしのげるか? 
数日前にも書いたように、ギリシャなら間に合う可能性があるが、イタリアに投機筋の攻撃が及べば持ちこたえられる保証はない。
なによりも、ここでは景気対策がなく、身を寄せ合って、デレバレッジと空売り投機の北風を前に、ひたすら緊縮政策で耐えるほかない。

首脳会議は特別目的事業体(SPV)を設立して、新興国などの官民の投資を呼び込むことを決めた。欧州労連は「各国政府が戦うべき有害な機関を付け加えるに等しい」と厳しく批判した。
そもそも欧州以外の国が投資に応じるかどうかが問題だ。中国は呼びかけに対し「欧州は自己救済能力を持っている」と述べ、慎重な姿勢を示したという。

ドイツにとって最後の決断のときが迫っているように見える。

大坂の堺市で起きた集団食中毒は、カイワレ大根が感染源と疑われたが、それは結局証明は出来ずに終わった。風評被害を受けた生産者は国との裁判で勝利した。

しかしカイワレ大根の種子のDNA検索を行ったところ、アメリカ産種子にO157に感染した経歴が発見された。これで種子が原因だとは特定できないが、アメリカ産種子の輸入には慎重に対応するということになった。

これが事件のあらましである。

つまり業者に過失はなく、事件によって生じた損害は、種子の輸入を認可した国が負うべきであるというのが、おそらくは結論となろう。


日本食品衛生協会専務理事 玉木武氏の文章から引用させていただく

平成9年7月、米国において水耕栽培のアルファルファ(貝割れ大根)によるO-157の集団食中毒が発生しました。

その情報を得て、平成7年オレゴン州において生産され、大阪府下の貝割れ大根生産施設で使用されていた種子14袋350kgのうち112kgについて、検査を実施しましたところ、一部の培養液からベロ毒素(VT)遺伝子DNAの検索で、70検体中14検体(20%)から当該遺伝子が検出されました。

また、上記の培養液16検体から、O-157抗原合成遺伝子DNA(4検体)、VT1 遺伝子(4検体)、及びVT2 遺伝子DNA(8検体)が検出されています。
このうち、157及びVTのDNAが検出された4検体について、O-157の増殖性を検索したところ、1検体に増殖性が認められ、当該貝割れ大根の種子がO-157に汚染されていたことが明らかになりました。

また、当該貝割れ大根の種子については、14袋すべてから大腸菌の汚染がみられ、また14袋中9袋からサルモネラ汚染も確認されています。
また、O-157が培養により分離できなかったのは、現在の培養方法ではO-157以外の増殖速度の速い菌が優勢となることが主なる原因と考えられています。

この問題については、乾燥種子においてO-157は増殖することはありませんが、O-157が培養分離されない場合でも菌の付着のおそれがあること、種子の汚染には相当なバラツキがあることから、サンプル検査で菌が検出されないことをもって発芽後の貝割れ大根が、O-157に汚染されていないことを保証するものではないことを行政側は警告しています。


ところで、この種の「行政側の警告」はアメリカの種子会社の利益を損なう可能性があり、FTAが締結されれば提訴されると覚悟しなければなりません。まさに毒素条項です。

なお、当時菅直人厚相が記者を集めてカイワレ大根をパクパクとやったが、あれは生産者に対するエクスキューズではなく、アメリカに対するポーズだと見るべきだろう。

現在のカイワレの安全性について云々するものではないが、堺の食中毒においてカイワレは限りなく黒に近かったのである。

米倉会長も、時には正しいことを言う。
24日の記者会見で、「交渉中の離脱は絶対にありえない」と断言した。

米高官自身がこう語っている。

読売新聞 10月29日(土) 配信

 【リマ=浜砂雅一】ペルーの首都リマで開かれていた米豪など9か国による環太平洋経済連携協定(TPP)の第9回交渉会合が28日、終了した。

 米国のバーバラ・ワイゼル首席交渉官は終了後、一部記者団に対し「参加の決断は前もってなされるべきだ。真剣な意志を持たない国には来てもらいたくない 」と述べた。

 これは交渉参加を検討中の日本政府・与党内にある、国益に合わなければ交渉途中で撤退すればいいとの「離脱論」をけん制し、政府の意思統一を図った上で参加を表明するよう促した発言だ。

冷やかしはお断り、ということだ。

これはさすがにひどい。
米通商代表部の「衛生植物検疫措置に関する2011年報告書」というレポートだが、3月に発表されたものを赤旗で報道した。
その一節を紹介している。
…報告書は、大腸菌が検出された米国産冷凍フライドポテトを日本が拒否していると非難し、油で調理すれば、大腸菌を除去できると合弁しています。…
これが一面トップの記事。
2面に詳細が載っている。
…報告書は、「日本は時に、完成品に分類されているが、米国産フライドポテトの積荷を、大腸菌の存在を理由に拒否している」
しかし「大腸菌の検出は最小限で、業界基準の限度内だ」
「フライドポテトは油で調理され、大腸菌の存在は除去され、したがって健康への悪影響の危険は除去される」と強弁しています。


これは犯罪行為である。行政に携わるものとしては許されない犯罪行為の強要である。かつてアメリカ産のカイワレ大根に付着した大腸菌O157で死者がでた事件は、私たちの記憶に生々しい。
これはアメリカにとっても自殺行為である。もしアメリカが国内でこういう基準でやっているのなら、ポテトチップは絶対に食べてはいけないといわざるを得ない。

もう一つは毒素条項(ISD)との関連である。FTAが成立すれば、日本は輸入を拒否できない。拒否すれば訴えられ、負け、多額の賠償金を支払うことになる。アメリカは大腸菌が検出されたポテトチップスをじゃんじゃん日本に送りつけてくるだろう。
あまりこういう言い方はしたくないが、これだけ相手が下品だと、こちらまで品性が落ちようというものだ。

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