総務省の労働力調査。完全失業率は4.5%となった。これは3ヶ月ぶりの悪化で、上げ幅も前月比0.4%と大きい。
とくに24歳以下の若年層ではひどい。男性では前月比2%アップし、10.1%とついに二桁越え。
小宮山厚労相は「円高、世界不況、タイの洪水」を上げているが、復興特需には触れない。タイも関係ないはずだ。ようするにさしたる理由もなく失業率が悪化していることになる。だから深刻なのだ。
赤旗はよりきめ細かく分析している。これによると
①就業者数は変化していないが、非労働力人口が減った分(22万人)が完全失業者の増加(25万人)に結びついている。
②被災地で復旧関連の短期の仕事が6ヶ月で契約切れになったため失業率が悪化した。(宮城では9月5.5%→10月7.5%)
③有効求人倍率は0.67倍、正社員の有効求人倍率は0.43倍にとどまり、今後も雇用状況の改善の見通しはない。
そして①については、「就職できそうにないとあきらめていた人が、生活苦などから求職活動を始めたため」と評価している。親の世話になっていたのが、いよいよ親も面倒見切れなくなってきたということだ。
ここに、10月度の雇用統計の特別な重要性 があるのだ。だから深刻なのだ。厚労相もこの位の分析はしてもらいたいものだ。
同じ労働力調査の詳細集計で、非正規雇用者数を10年間の経年で見たものが発表された。これを従業員規模別に比較したのがこのグラフ(赤旗作成)。
非正規、非正規というがのっぺらぼうに増えているのではない。大企業が正社員を雇わずに非正規で済ませているから非正規が増えているのであって、景気がどうのこうのというのではなく、大企業が雇用の責任を放棄していることが非正規の増加の理由なのだ。
円高のせいだというが、それは違う。非正規を増やして、人件費ダンピングをして輸出を増やせば、円高になるのは当然の結果だ。
労働経済白書は以下のように指摘する。
こうした大企業を中心とした採用態度は、社会的に見た雇用の安定という観点ばかりでなく、それぞれの企業における技術・技能の継承や人材育成といった観点でも問題が多くなっている。
そのとおりだ!