記事の後半は、OPECに価格決定力が亡くなっているという内容。
これはなにかネタ本があって、丸写ししたもののようで、かなり濃密に経過が列挙されている。
いわば圧縮ファイルで、解凍すれば数倍に膨らむであろう。
順に追っていこう。

1.オイルショック

オイルショックまでは、主要産油国のほぼすべてがOPECに加盟していた。石油価格はOPECが決定していたが、価格そのものはメジャーが左右していた。

中東戦争の時に湾岸諸国がOPECの主導権を握り、価格を大幅に引き上げた。引き上げ分は主として産油国(の特権階級)の取り分となった。これはオイルダラーとなり、投機資本の源流をなしている。

2.OPEC 非加盟の産油国の増大

国際石油価格の上昇は、これまでの産油国以外の国の油田開発を促した。世界生産に占めるOPECの比率は、70年代には53%だったが、2013年には41%まで低下している。

この結果OPEC価格に従わない産油国が増加し、OPECの価格決定力を減退させた。

3.ニューヨーク商業取引所のWTI上場

WTI が商品として先物市場に上場されたことから、この価格を中心に原油価格が決定されるようになった。

OPECに代わり消費国における市場が決定力を持つようになった。要するに市場原理が支配するようになったということだ。

4.原油価格の騰貴と暴落

原油価格はグローバルな需要と供給の関係を反映していない。

原油価格が市場で決定されるようになったということは、原油価格が市場の思惑で激しく動くようになったことも意味する.

しかし、生産コストが長期的に見て増大していることも間違いない。一つの油井は掘り尽くせば枯渇する。次々に新油田を開発していかなければならない。しかし当然ながら、採掘・輸送などの条件は悪化していく。

5.安値競争を仕掛けた可能性

今回のOPECの“非調整という決定”は、主要産油国とこれと結託した石油メジャーが安値競争を仕掛けた可能性もある。

生産調整となれば、主要産油国がそのかなりの割合を引き受けなければならない。ただでさえ原油安で苦しんでいる時に生産調整をかぶる一方、新興産油国が漁夫の利を占めるというのでは面白くない。

いっそ安値競争を仕掛ければ、新興産油国が潰れて、結果的に生産調整になるであろう。

新興産油国の経営基盤は多くは脆弱であり、投資に見合うだけの資金回収を行っていないであろう。

安値競争になれば、バタバタと連鎖的に倒産する可能性もある。結果として主要産油国の生産が安定すれば、そこを基盤とするメジャーにとってもご同慶の至である。

もうひとつ、シェールオイルとの争いもある。アメリカのシェールオイルの損益分岐点は60ないし80ドルと見られている。60ドル割れはまさしくわずかに、この分岐点を下回っている。

したがってOPECの決定は、OPECというより既成の石油メジャーと新興シェール勢力の激突と見るべきかもしれない。アメリカでは矛盾が激化するかもしれないが、ロシア懲罰という錦の御旗を掲げれば風当たりも多少は弱くなろうというもの。

そこまで考えているとすれば、なかなかの知恵ものだ。