赤旗の短い解説記事、「原油価格急落 市場に何が」が掲載された。

ニューヨーク市場(NYMEX)の原油価格の動向がグラフで示されている。

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WTI: West Texas Intermediate (西テキサス産出の中質油)の価格のこと。世界の石油価格の指標となっている。
NYMEX: New York Mercantile Exchange (ニューヨーク商業取引所) 商品先物専門の取引所だが、石油の取引における世界のセンターとなっている。

これは今年7月からのものだが、最高値はもっと前、リーマンショック直前の147ドルだ。そこから見ると実に1/3となっている。

たしかに石油産出国から見ればひどい話だ。暮らしを1/3に切り詰めろと言われても、それは無理な相談だ。

考えられる理由は三つある。

一つは世界不況だ。中国も減速していて、当面需要が膨らむ要素はない。

二番目が「シェール革命」だ。米国やカナダでは自国需要を満たして余りあるほどの採掘量となっている。最大の消費国・輸入国が「もういらないよ」ということになれば、値崩れを起こすのは当然であろう。

3つ目は11月27日のOPEC総会だ。明らかな供給過剰であり減産協定を結ばなければならないのに、各国の思惑が一致しなかった。結局減産協定は成立しなかった。

ただ3つ目は11月末の話であり、原因というよりも、これからどういう影響を与えるか、その可能性が問題となる。

赤旗では一番目と2番目の順序は逆になっているが、あえて並び替えた。枚の記事でも述べたように、結局投機資本がどういう動きを示すかに事の本質があると考えるからである。

「シェール革命」は今のところ一つの物語だ。だいぶ前になるが「北海油田」が開発されて、ノルウェイやイギリスは輸出国になるのではと言われた。

一時的には原油価格に影響したかもしれないが、結局大勢は変わらなかった。むしろ高コストの石油資源を持つばかりに、それが負担となるというデメリットもあったようである。

「物語」は楽しいから、尾ひれ羽ひれがついて膨らんでいく。これはまた別の機会にやるとするか。

いずれにしても世界経済にとって重要なのは、もし世界不況が原因であるとするのなら、リーマンショック以後6年も経っているのに、その間ずっと世界不況が続いているのに、どうして原油価格が下がらなかったのか、それがどうして今年になってから大暴落したのか、という問題であろう。

そしてその中から投機資本の本質的習性を探りだすことであろう。