HSイッセルシュテットのハンガリー舞曲がおすすめ

イッセルシュテットはベルリンのお金持ちのボンボンで、戦後はいち早く北ドイツ放送放送SOの常任に滑り込み、オケ伴をコツコツやりながら、最後はウィーン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集を残して死んだ人、というのが一般的印象。

ただ彼の本領はベートーヴェンよりもブラームスなので、歌うことが大好きで、事実うまい人だ。

二つ印象があって、ひとつはヌヴーのオケ版でブラームスの協奏曲。もちろんヌヴーもいいのだが、貧弱な音ながらオケの演奏がいいから引き立っているのだと思う。

もう一つは高校生時代に買ったドヴォルザークのセレナーデ。グラモフォンの安売りレーベル「ヘリオドール」の盤。けっこう擦り切れるほど聞いた。

その人にこういう演奏があったのだ。

これまでハンガリア舞曲というとフィッシャー指揮のハンガリアの楽団の演奏を聞いていたのだが、面白く無い。なにかないかと物色していた時に、ドラティ盤とイッセルシュテット盤の二つを見つけた。

ドラティーの盤はコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」を聞いているみたいで、これはこれで面白い。ロンドン交響楽団のブラスも圧倒的な迫力だ。

しかしイッセルシュテットを聴くと、まるでウィーンの場末のサーカス小屋のような雰囲気だ。なんという情緒だ。しかもすれすれのところ下品でない。ブラームスはこういうふうに演奏してもらいたかったのではないだろうか。

ルバートとポルタメントのシロップがたっぷりかかった夢見ているような気持ちにさせられる。こんな気持はクレンペラーの「真夏の夜の夢」以来だ。

61年の録音で、しかも手持ちのLPを再生してアップしたというお手軽ファイルだから、盛大なプチノイズだが、中身はそれを上回る。

誰かもう少し良い音質でアップしてくれないかな。

ついでに。

アバド指揮ウィーン・フィルの全曲盤もアップされているが、例によって蒸留水だ。ネーメ・ヤルヴィ(親父の方)の全曲盤もあるが、何故録音したのか、味は皆無である。