リスト編曲のバッハ前奏曲とフーガ BWV543を聴き比べた。

取り溜めて聞いていなかった曲を聞いているうちに、「おや」と思う佳曲であると感じたのがきっかけである。

きっかけになった演奏がウラディミル・ヴィアルド(Vladimir Viardo)という人の演奏。この人はグルジアの出身、クライバーン・コンクールで優勝して名を上げたようだ。ロシア風のぺたぺたしたタッチで、そのかわりよく回る。強奏になると指力で押してくる。

悪い演奏ではないが、アップの音質が悪いためか音がこもる。

ミシェル・ブロックという人の演奏。こちらはリスト編曲のバッハを全曲録音したアルバムの一つ。

この人はフランス人でペルギー生まれ、メキシコ育ち。ジュリアードを出たあとアメリカで活躍した人のようだ。10年ほど前になくなっている。

この人はいかにもリスト風の演奏だ。テンポも相当動かしながら、フーガの盛り上がりに集中している。こういう演奏、嫌いではない。これも音質は悪い。

とりあえず一番のおすすめはエフゲニ・コロリオフ(Evgeni Koroliov)だろう。リストの曲でありながらもできるだけバッハの雰囲気に近づこうとしている。他の人には悪いが、品性がある。何よりも音が良い。

この人はモスクワ生まれの音楽エリートで、ノイハウスやオボーリンの指導を受けている。18歳で平均律の全曲演奏をしたというから、ちょっと変わり者かもしれない。76年に事実上の亡命。ドイツに逃れ、現在はハンブルクを中心に活動しているらしい。

リゲティが無人島に持っていく1枚として、この人のバッハを推薦しているようで、向こうではなかなかの人らしいが日本ではさっぱりだ。

ついでながら、奥さんとのデュエットのこの曲もいい。

パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582


おまけみたいなものだが、ヨウラ・グラー(Youra Guller)という女流の演奏がある。

BWV 542 Youra Guller- Fantaisia and Fugue in g minor

BWV 543 Youra Guller Prelude And Fugue In A Minor

1895年の生まれというが、70年代にこの録音を残している。アルゲリッチのたっての勧めで録音したという。

若い時は美貌のピアニストとして鳴らしたようで、グレタ・ガルボばりのポートレートが残されている。

変わった名前だがロシアとルーマニアの血を引くユダヤ人でマルセイユ生まれ。元の名はRose-Georgette Guller 経歴もまことに波瀾万丈で、パリでデビューしたあと、30年代には8年にわたり中国に滞在。第二次大戦の勃発でフランスに戻るが、ドイツ軍の侵攻に伴い、隠棲を余儀なくされる。さらにその後は病気になり、演奏活動は金のないときだけ行ったという。

それがどういうわけか76歳になってからニューヨーク・デビューし喝采を博したらしい。最後は80年、ミュンヘンで亡くなっている。(Wikipedia)

一応写真は載せておく。演奏はどうというほどのものではない。ヘミング某みたいなものだろう。

guller


guller-FOTO-cd-tahra

残念ながら、ソコロフの演奏はない。

オルガンではマリ・クレール・アラン、ドン・コープマンとひと通り揃っているが、音質的にはパワー・ビッグスが良い。しかしまるっきし面白く無い。巻紙演奏並みだ。