エグモント序曲でギュンター・ヴァントが良いと書いた。youtubeで見ると、これは93年6月14日にベルリンのフィルハーモニーで行われた演奏会のライブ録音のようだ。

楽団は手兵北ドイツ放送ではなく、ベルリン・ドイツ交響楽団という新興オーケストラ。やはり、ちょっと落ちる。

彼の指揮は徹底してレガートを要求する。楽譜に書かれた音符を目一杯弾ききることによって、楽器は初めて良くなり、本当の響きが生まれる。ただし楽団員、とくに管楽器にとってはしんどいだろうが。

レガートはプレヴィンもお得意だが、ヴァントの場合、リズムへの要求が大変厳しい。こうしないと音が綺麗に積み上がらないからである。こういう生き方はセルと大変良く似ていると思う。セルの方が数倍エグいが…

アップロードされた曲を見ると、エグモントのほかにエロイカとシューベルトのハ長調。思わず目を疑う。ホントかいな? 

1912年の生まれというから、この年81歳だ。すげえ馬力だ。私がテレビで見たのは2003年ころで、もう死んでいたが、その3年前の、最後の日本公演のものだ。

その時が88歳かな。

70歳で北ドイツ放送の首席指揮者に就任し、79歳で退任した。本格的活動はそれからだ。超遅咲きの桜だったことになる。


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によると、ヴァントのシューベルトは三種類のライブ盤が発売されているそうだ。

ヴァントが晩年に遺した3種類の『ザ・グレート』は、それぞれオーケストラが異なり、演奏時間にも違いがある。

北ドイツ放送交響楽団とのライヴ(1991年4月21~23日録音)
 第1楽章[13:53] 第2楽章[15:51] 第3楽章[10:42] 第4楽章[11:53]

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とのライヴ(1993年5月28日録音)
 第1楽章[14:16] 第2楽章[16:26] 第3楽章[10:54] 第4楽章[12:31]

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのライヴ(1995年3月28~29日録音)
 第1楽章[13:56] 第2楽章[15:46] 第3楽章[10:46] 第4楽章[12:12]

録音時期は1991年、1993年、1995年と2年おきの短期間で行なわれているので、指揮者の解釈に根本的な違いはないはずだが、オーケストラという媒介を通すと、聴こえてくる音楽には、それぞれ微妙な特色が出てくるのが面白い。

と書かれている。

このyoutubeの演奏は、ミュンヘン・フィルとのコンサートの直後に行われていることになる。



その後調べたら、ほかにコリオラン序曲やブラームスの1番もある。2日間に分けた演奏会のようだ。

この人の活躍世代は60年代のケルン放送交響楽団からだ。ここで20年、北ドイツ放送に移って10年、それからフリーの10年となるから、多分これから先、放送テープは続々と出てくるのではないだろうか。

定期演奏会の半分は振っているとして、年に6本、30年の放送局づとめで180本は演奏会のテープが収録されているだろう。