原油安で厳しさ増したベネズエラ外交

原油価格が低下してきた。

直接的には投機資本が、世界経済を変調に貶めたことで、自分の首を絞めたのであるが、石油産出国はその煽りを食らって、深刻な危機に直面する破目になった。とくにラテンアメリカの左翼政権をけん引するベネズエラとそれに追随するALBA・ペトロカリベ(カリブ石油連帯機構)加盟国にとっては、その存在意義が問われかねない事態に至っている。

こうした状況の中、ペトロカリベの石油相会議が開かれた(11月 カラカス)。

ベネズエラは「従来通り機構との公約を守る」と言明したが、ベネズエラの国内事情を見れば、その言葉を信用して良いものか。

現在、ペトロカリベには中米・カリブ地域の18カ国が加盟している。ペトロカリベのもと、14の合弁製油所が建設され、432の事業が展開されてきた。これらの施設・事業がどうなるかはベネズエラ次第となっている。

ピノチェト軍事独裁への糾弾は終わっていない

二度目の大統領となったミチェル・バチェレ大統領は、ピノチェト政権に捕らえられ拷問を受けた人である。二度と軍事独裁を許してはならないという決意は人一倍堅い。そのために弾圧の思い出は決して忘れてはならないと思っている。なぜなら弾圧の張本人は相変わらずのさばっているし、機会あらばふたたび世に出ようと狙っているからである。

長い間の躊躇を経て司法界もようやくその意義を認めるようになってきた。その象徴がこの判決であろう。

11月、チリ最高裁がバチェレの父アルベルト・バチェレー空将の殺害犯に有罪の判決を下した。実に41年ぶりの判決である。父バチェレは空軍内において立憲主義者を代表していた。73年9月11日の軍事クーデターで彼はクーデターに同調しなかった。彼はクーデター派に捕らえられ、拷問され、それがもとで半年後に亡くなった。

今回の裁判で裁かれたのは拷問の当事者である空軍退役大佐二人で、それぞれ禁錮3年と2年の実刑が言い渡された。刑が軽いのは彼らが実行者に過ぎず、命令したのはピノチェト本人だったからである。命令を受けて実行しただけなのに実刑が下ったのは、彼らがそれを反省していないからである。

ハイチで相変わらずの暴力衝突

11月18日、ポルトープランスのスラムでマルテリ大統領辞任を求めるデモ行進が行われ、大統領支持派と衝突、1人が死亡、3人が負傷したそうだ。反政府派は「民主愛国運動」および「憲法順守愛国団」を名乗り、選挙の早期実施と政治囚解放を要求した。警官隊が出動し、催涙弾でデモ隊を解散させた。目撃者は、野党議員がライフル銃で大統領支持派側を撃っていた、と語っている。

この10年、まともにハイチ情勢を勉強していない。勉強しないと困るのはそもそも白黒が分からなくなることだ。03年のアリスティド排斥の時、多くのメディアは白黒を完全に間違えていた。ただ民衆もしばしば暴力的になるし、しばしば容易に腐敗するので、うかつに信用出来ないところがある。とにかくAPであろうとロイターであろうと鵜呑みにしないことだ。迷ったらまずルモンドへ。

エボラもやはりキューバ医師団

このあいだ、エボラ関連ニュースでキューバ人医師がスイスに送られ隔離収容されたと報じられていた。「おっ、相変わらず頑張っていますね」と感じた。

「国境なき医師団」は宣伝がうまいから、自分たちが医療の代表みたいな顔しているが、現地で一番頑張っているのはキューバ医師団と相場が決まっている。キューバがシエラレオネ、リベリア、ギニアの西アフリカ3国に送った医師数は256人に達している。「国境なき医師団」をはるかに凌駕している。

さらにキューバでは、2万3000人の医師、看護師、医療技術者がエボラ対策の訓練を受けて待機している。

キューバの医師数は50万人。そのうち5万人の医師、看護師、医療技術者らを世界66カ国に送り込んでいる。これについては世界中どこでも高く評価されている。例えばブラジルでは1万1800人が働いている。4800万人が診療を受け、その88%は満足している。ブラジルはこれに対し、年間85億ドルを支払っている(貿易額は20億ドル)

キューバの貢献については、ニューヨーク・タイムズも賞賛を惜しまない。

「キューバはエボラとの戦いで最も際立っており、その姿勢は称賛され真似されるべきだ」と書いた。そして

ケリー国務長官が名こそ挙げないが、その勇気を讃えたことにも触れた。

それで一番頭に来ているのがアメリカの闇の権力だ。そこでアメリカは派遣された医師の亡命を手助けしている。この政策は06年にブッシュ前政権が始めた。この1年間に1278人のクーバ人医師が米国に亡命した。

ニューヨークタイムズはこのような「引き抜き」策を人道にもとるものとして厳しく非難している。現実に亡命した医師がアメリカ国内で医師として活動することは不可能である。「引き抜き」は文字通り引き抜いて捨てるだけの政策である。