入来さんの議論は前回のところまではうなずけるものであったが、このあとは必ずしも納得できるものではない。
入来さんは、霊長類の話に一足飛びに進んで、眼と手の連合が霊長類を進化させたという。そして手の発展には樹上生活が必須であったとする。
さらに、道具の使用が主体と客体の分離、そして「心」の発生を促したという。
ここまで進めてきた俯瞰的・積み上げ的な観点が、ここからさき剥落してしまうのだ。これでは霊長類の発達の説明に留まってしまう。普遍的な説得力がない。
ここから先は、入来さんと別れて、もう少し適応論を敷衍していきたい。
1.眼の発達と神経の発達の関係
2.音声シグナルから言語への転化
眼は水中の魚類から始まって、すべての動物にある。耳も動物が陸上で生活するようになった動物には備わっている。音声シグナルを発生する喉頭蓋は多分、爬虫類意向の動物には備わっていると思う。(確信はないが、例外はあるだろうが)
だから、音声シグナルで何らかの表象を形成したり、喋ったり、読んだりすることは原理的には多くの動物で可能なはずだ。(書くのは難しいだろうが)
にも拘らず、それが人間にしかできないとすれば、それはそれらの器官の使い方の問題なのだろう。そして使い方を開拓し、それを種の特有の能力として遺伝子に刻み込んだのは脳の働きなのだろう。
動物は、そして人間は眼の能力に何を付け加えたのか。