バッハのパルティータ 3つの演奏を続けて聞いた。
というのも、最初に聞いたゲザ・アンダの演奏が、「あれっ?」という感じだったからだ。
ゲザ・アンダの演奏は1972年のザルツブルグでのリサイタルの録音。
何か両手の10本の指で音どもを鷲掴みにして、そのあいだに音を閉じ込めるような弾き方に聞こえたからだ。それはすごい緊張感だ。
そこで、「そんな曲なんだっけ?」と思って、ソコロフの演奏を聞いてみた。こちらは2010年、ロッテルダムでのライブ録音。
まるっきり違うのだ。ソコロフは指を揃えてそこから音を押し出すような音の出し方をする。ウルトラマンのスペシウム光線みたいなシュワッチという音だ。これも相当迫力がある。
そこで、「ここは一応ご本尊にも伺ってみなくては」ということで、グールド大明神の演奏も聴く。
こちらは鍵盤の上に水柱が立つような、音の一つ一つが水の粒のようなクリアーな音作りだ。
「ウムウム」と唸りつつ、もう一度3つを連続で聴く。最初の印象は間違いないようだ。
しかもどれもが、それなりの説得力を持つ。
例によって申し訳ないが、イングリット・バーグマンとエリザベス・テーラーとオードリー・ヘップバーンの違いだろう。ロッサナ・ポデスタも加えておこうか。