鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

2.草稿第5章は利子の源泉を説明したもの

大谷さんは、この草稿第5章が「銀行と信用の篇」ではないことを、プラン問題からも説明している。

ここは、講義の後相当膨らませたところだと思う。度外れに長くなっている。それはそれで面白いところなのだが、ここにハマりこんでしまうと全体が見えなくなる。

うんとかいつまんで言うと、資本論の第一部で生産過程を論じた。第二部では流通過程を論じた。第三部では、生産過程と流通過程のからみ合いの中から、利子と地代が発生することを証明しようとした。

剰余価値は利潤,利子,および,地代という形態で,労賃とともに,独立した収入として現われることが明らかにされます。

こうして,社会の表面に見えている経済活動の現象が,その深部にある本質,諸法則からすべて展開されることが明らかにされます。

というのが第三部のプランだ。

だから、草稿第5章は利子の源泉、利子生み資本について説明したものでなければならない、というのだ。

逆に言えば、ここでエンゲルスはブレちゃったのだ、ということになる。

エンゲルスの気持ちは分からないではない。彼が第三部の編集に携わっていた頃、世の中では金融資本が急成長していた。この金融資本についてどう評価するかは左翼陣営にも痛切にもとめられていたに相違ない。

その時にこの草稿を見つければ、「さすがはマルクス、ちゃんと信用論も書いていたんだ」と喜んで、そういう方向にまとめてしまったのだろう。

3.草稿第5章の構成

と、ここまでが序論。ここからいよいよ草稿第5章の中身に入っていく。

最初にだいじな指摘がある。

どの章でも分析の対象がつねに資本でした。この第5章も分析の対象は資本ですが,ここではそれが利子生み資本という形態の資本です。

だから「資本論」なのだ。

逆コースで理論をたどると、最終目標は利子が剰余価値の一部であることの証明だ。そのためには利子が資本の運動の結果実現するものであることを証明しなければならない。それが利子生み資本だ。

ついで利子生み資本がどこから生まれてくるかを説明しなければならない。それは剰余資本であり、利子を生むことを目的に金融市場に動員された資本である。

では金融市場はいかに成立し、いかに機能し、そこにどのように利子生み資本が投入されるか。

そこが流通過程・流通市場との接合点だ。そこが議論のもうひとつの出発点になる。マルクスの論理展開はここからふたたび川下に下って行くことになる。


貨幣資本とマネー資本

本筋とは少し外れた議論が二つある。ひとつは貨幣資本とマネー資本をめぐる議論であり、もうひとつは貨幣取扱資本と利子生み資本をめぐる議論だ。

流通市場に動員された資本も貨幣資本であり、金融市場に動員された資本も貨幣資本であるが、この資本は、基本的には、富の裏付けではなく信用の裏付けに基づく資本である。

両者を分けるためマルクスは後者をマネー資本と呼ぶ。(大谷さんによればエンゲルスはこの違いが分からなかった。そして編集にあたって、この違いを抹殺してしまった)

それではマネー資本はどこから生まれてくるのか。


貨幣取扱資本と利子生み資本 

大谷さんは、時々、訳の分からない難解な言葉を発します。大体、学生はこういったところで挫折するのです。次のような表現がその典型です。

第5章では,信用制度・銀行制度のもとで運動している資本の具体的な姿から,貨幣取扱資本の側面を度外視することによって、純粋な形態での利子生み資本を取り出します。

これは、要するに使用価値と価値の関係だ。

銀行の資本は具体的な“役立ち”としては貨幣取扱資本だが、一般的な価値(すなわち儲けの手段)としては“利子を生むという価値”で表現されるということだ。

ただし、貨幣取扱資本=利子生み資本ではない。ここがややこしい。

貨幣取扱資本は、もともとは、貨幣取扱業務を行なう業者の手持ち資本である。これは流通の仕事で利潤を手に入れる商業資本のうちの特殊な種類だ。

しかし利子生み資本は剰余資本であり、利子を生むことを目的に金融市場に動員された資本である。

ここの関係は、とりあえず良く分からない。後回しにしよう。



ということで、脳みそのスタミナ切れ。今回はここまでにしておこう。


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