鈴木頌の発言 国際政治・歴史・思想・医療・音楽

中身が雑多なので、右側の「カテゴリー」から入ることをお勧めします。 http://www10.plala.or.jp/shosuzki/ 「ラテンアメリカの政治」がH.Pで、「評論」が倉庫です。「なんでも年表」に過去の全年表の一覧を載せました。

大谷禎之介さんが2004年に行った最終講義の記録が読める。

マルクスの利子生み資本論―「資本論」の草稿によって―」

と題されている。「学生向けだから分かりやすい」と思ったら、なんのなんの、中身がぎっしり詰まっていて、とんでもない論文だ。

元々は最終講義のノートだったのに付け加えて付け加えて、一冊の本になるくらいに膨らませてしまったのではないか。

1.エンゲルスによる編集作業の問題点

ここは結構繰り返しになるが、自分の頭の整理をふくめてもう一度。

問題は二つある。

A) ひとつはエンゲルスがいじった結果、変になってしまったところがたくさんあって、それを草稿に忠実に再現しなければならないということだ。

B) もう一つは、草稿があくまで草稿であって、行きつ戻りつしたり、書いた時期や順番によってニュアンスが変わってきたりしていることだ。その流れも分かるように草稿を整理しなければならない。それこそエンゲルスが苦労し、中途半端に終ってしまったことであるが…

だから大谷さんの論文を読むときは、どちらの研究の流れについて語っているかを把握しなえればならない。なぜならこの問題は、常に錯綜しているからだ。

そのうえで、大谷さんの指摘するエンゲルスの誤りは以下のごとくに整理される。

まず、誤りの多い場所である。

エンゲルスによる編集作業の問題点は,最後まで手こずった,利子生み資本を取り扱っているに集中している。

それは草稿の第5章第5節,エンゲルス版資本論の第三部では第5篇の第25章から第35章にかけての部分である。

大谷さんは、エンゲルスの間違いの根本は、この第5章第5節を「銀行と信用の篇」なのだと思い込んでしまったことにあるという。しかしこの節にマルクスがつけたタイトルは「信用。架空資本」なのである。

ここからさきは大谷さんの主張になっていくのだが、

1.つまり「銀行」は、少なくとも論理の主筋ではないということだ。「銀行」ではなく「架空資本」こそが、この節の主人公である。

2.マルクスは信用が利子生み資本を生み出した経過を概観した上で、利子生み資本の考察に入っていく。その先に「架空資本」の概念が浮かび上がってくる。これが第5節の論理展開である。

3.エンゲルスはマルクスの文章を書き換えまでして、この節が「銀行と信用」を扱っているかのように持って行こうとする。しかしマルクス自身は、資本論では信用制度の分析はやらないと書いている。


ということで、今回はここまでにしておこう。


コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

↑このページのトップヘ