つまらないことだが、勉強にはなった。
ねずみ講の上の方にいた人は、結構儲けているはずだ。ねずみ講が破産した場合、主催者には当然返還義務が生じるが、一会員として加入してうまいこと儲けた場合は、返す必要はないだろうと思っていた。それなりのリスクは背負ったからだ。
ところがそうではない、「返還せぇ」ということになった。しかも全額だ。最高裁判決だから確定だ。法律を作らない限りはひっくり返せない。
どういう裁判かというと、ねずみ講の会社が破産した。会社は破産管財人を立てた。管財人は儲けた奴に対して「不当に得た利益」を返還するようもとめた。その額2100万円。ちょっとした家が建つ。
そいつは当然のことながら返還を拒否した。
その際の事由は、民法上の規定である。民法にはこうあるそうだ。
公序良俗に反する行為によって支払われたものについては返還を請求できない。
裁判が始まり、一審、二審では儲けた奴が勝った。管財人は諦めずに最高裁まで上告した。
そして最高裁でどんでん返しが起きたのである。
最高裁判決のミソは“信義則”を民法の規定に優先させたことである。
(管財人の背後にいる)債権者の多くは、会社の破綻によって損失を受けているのだから、管財人が利益の返還を求めて、それを債権者への配当に充てるのは相当である。
とした上で、
男性が民法の規定を理由に返還を拒むのは信義則から許されない。
と断じたのである。
おそらく会社の形態や出資の形態に個別的特徴があると思われ、またこの男性の会社との関係も個別に論じられなければならないのであろうが、「原則返還」という判断は重い。

この判決は、ねずみ講の根絶に役立つだろうと思う。「絶対に得することはありえない」ことが示されたからである。