雪崩を打つような海外進出が続いている。いまは自動車だけでなく一般製造業まで裾野が広がっている。さらに、これはうまくいくかどうか分からないが、第三次産業やサービス産業まで浮き足立っている。
最初は、ジャパン・バッシングの中アメリカへの輸出が厳しく規制されて、迂回輸出の形で始まった。それが安い人件費を求めての海外進出となり、さらに最近では市場を求めての海外進出となっている。
ただその先に何があるかというと、リスクは少なくない。かつて追い風となった円高は、いまや逆に吹いている。労働力の価格は高騰し、労働運動などの洗礼も始まっている。肝心の市場も、分野によっては、現地の新興産業に追いつき追い越されかねない。
海外進出一本槍で行った場合、本体もろとも転覆する可能性は格段に高くなっている。
その典型がソニーであろう。
かつては「さすがはソニー」、いまや「やっぱりソニー・タイマー」である。

海外比率
08年からのものでスパンは短いが、各産業別の特徴がよく現れている。自動車が典型で、リーマンショック、東北大震災、タイの水害などで上がり下がりはあるが、ものすごい勢いで海外生産化が進んでいる。ホンダ・日産は完全に海外志向、トヨタが大きく海外に軸足を移したのが大きい。
注目すべきは電気・電子の伸び悩みである。海外生産が行き着くところまで行くとどうなるか、その未来図を提示しているようだ。次の大波が来たら、産業全体が持たなくなるのではないかと危惧される。かつての繊維業界と同じコースをたどっているようだ。
そして自動車もそのコースに入りつつあるように見える。
長期的に見ると、国内拠点を貫くシャープ、マツダ、ダイハツあたりの業績がどういう方向に動くかが注目される。