奨学金の返済状況に関するデータ

共産党が「奨学金返済への不安と負担を軽減するために」という政策を発表した。

そのなかで奨学金の返済状況がいくつか示されている。

一般に科学研究では95%というのが信頼限界とされる。つまり5%以下の不揃い分は無視しうるものとされている。

奨学金の返済焦げ付きも、5%以下であれば事務的ミスとか、不心得の範囲に留まるだろう。

これが現在は「8人に1人」が滞納や返済猶予になっているそうだ。率で言うと12、3%というところか。これは明らかに問題だ。

1.奨学金受給者は20年間で4倍に

奨学金の受給率はこの間に急速に増大している。1998年と2014年の比較で、3.7倍にまで達した。粗々で言えば20年で4倍となる。

これはすごい数字だ。知らなかった。

「いまや学生の2人に1人が奨学金を借りています」という時代になっているのだ。

二つの見方ができる。ひとつはそれだけ世の中厳しくなっているという見方。もう一つはそれだけ大学教育が大衆化して、昔行けなかった人まで行くようになったという見方だ。

どちらにしても、学生が全体に貧困化し、学生生活が全体としてみすぼらしくなっていることは間違いないようだ。

2.学生の貧困化の原因

同じ時期の比較で親からの月の仕送りが10万円から7万円に減ったというデータが有る(大学生協連による下宿生調査)

その一方で学費は上がっている(ここには比較した数字は載っていない)

学生の貧困化の原因はあまりにも単純明白だ。

そして学生の対応も単純だ。奨学金かアルバイトしか方法はない。どちらが良いかといえば奨学金に決まっている。だから学生は奨学金に雪崩れ込んでいるのだ。

3.奨学金という名の借金

いまや奨学金の主流は有利子だそうだ。卒業後は返済していかなければならない。これがいくらになるのか。

…平均的なケースで、卒業時300万円、大学院に進学すると1千万円だそうだ。

医者や看護師の場合は、何年かお礼奉公するとただになる場合が多いが、普通はそうは行かない。返していくしかないのである。

利率は不明だが、20年で倍返しとなると、年額30万の返済となる。

最近の大学卒賃金については以下のように記載されている。

…大学・短大卒で30歳から50歳の人の3分の1以上が年収300万以下(総務省就業構造基本調査)で働いています。

だとすると、この3分の1の人の平均年収は250万程度と想像される。この中で、返済が滞る人が8人に1人程度というのは、ある意味で驚異的だ。

4.滞納するとどうなるか

記事から引用すると

…期日から一日でも遅れると5%の延滞金利息が上乗せされ、滞納が3ヶ月以上続けば、金融の「ブラックリスト」に載せられます。

ということだ。

借りた金を踏み倒すのは世間的には許されないし、厳しくあってしかるべきだ。しかし現下の事情を鑑みるなら、制度自体に条件を守られるような柔軟性が求められる。そうでなければ、たんなる厳罰主義であって、事態の解決には役立たない。

借金は返さなければならないと、歯を食いしばって頑張っている人たちに、せめて温かい気配りが必要ではないか。

5.共産党の提案

ということで、そもそも論もさることながら、奨学金併催の滞納者となることによって「社会的失格者」の烙印を押すようなアコギなことはやめよう、というのが共産党の提案だ。

詳細は本文に譲るとして政策の柱を箇条書きにしておく。

①既卒者の奨学金返済の減免制度を作り、生活が困窮する場合の救済措置を講ずる

②延滞金、連帯保証人、保証料を廃止し、返済困難者への相談窓口を充実する

③すべての貸与奨学金を所得に応じた返済制度にする

もちろんこれは当座の措置であって、抜本的には奨学金を貸与制から給付制に戻すことが必要であり、さらには世界の物笑いとなっている低文教費政策を改めることが必要であろう。