前の稿で、東アジアの平和共存の原則について、うんとプリンシプルな論理構造を挙げておいたが、これは各方面からたくさんの構想が出されている状況の中で、それらを吟味する視点を整理しておきたかったからである。

もう少し実践的にこの問題を扱うとすれば、やはり歴史的な特殊性を避けては通れないだろう。

1.分裂国家群という特殊性

基本的にこの4.5カ国体制が成立したのは1949年の中国共産党軍による中国本土の解放、蒋介石軍の台湾確保と「中華民国」の創設、そして1953年、朝鮮戦争を挟んでの朝鮮半島の南北分裂の固定化という二つの歴史である。

いずれの国も相手国を仮想敵国としており、引き金から指を離してはいない。きわめて不安定な状態にある。

また現在の4.5カ国体制はいずれ将来的には3カ国体制に移行すると考えるべきである。そのためにも北朝鮮の国際政治への復帰、中台の平和的統一が織り込まれなければならない。

2.東西対立の集中点

この地域はもともと二つの体制の接点であり、冷戦終結後もいまだに冷戦体制を引きずっている。

政治・経済・社会のシステムが根本的に異なっており、共同は容易ではない。

3.侵略国対被占領国という歴史的関係

戦前・戦中において日本は占領国であり侵略国であった。他の国は被占領国であり被侵略国であった。

北朝鮮を除く国々との国交は正常化し、賠償問題も決着済みであるが、いくつかの戦争犯罪については未解決である。

そのこともあって、日本への警戒心は根強いものがあり、平和協力の障害となっている。

4.最大国である中国の特殊性

中国は「社会主義国」であるという特徴に加え、大国としての特徴を持っている。核保有国であり、安保理常任理事国であり、多民族国家であり、世界第二の経済大国であり、兵員数世界一の軍事大国である。

しかも現在急成長中であり、域内の力関係は大きく変わっていく可能性がある。