本日は、何年ぶりかに由緒正しい休日を送った。すなわち、ヨドバシ・カメラ、古本屋、食堂で豚肉生姜焼き定食、紀伊國屋、クラシックな喫茶店というコースである。
ヨドバシ・カメラでは1万5千円のしゃべる犬のおもちゃ、これは嫁さん用。孫に線路付きの機関車トーマス。次にPCフロアーの冷やかし。Core i7と50ギガのメモリー、500ギガのHD内臓で5万円が相場になっている。外付けHDは1テラで1万2千円。こういう勝負では日本製は絶対に勝てない。
それからAVのフロアに下がる。4Kテレビにしばらく見入る。4Kの威力が発揮されるのは80インチ以上で、ほとんどシアターだ。画面から1メートルのところに座って3Dメガネを掛けると視覚刺激は極限まで達する。
発光は従来液晶(正確にはCCFL)ではなくLEDの世界だ。多少欲望は刺激されるが、まぁ死ぬまでに買うかどうかの話だ。
奥のオーディオ・ルームで最新式のステレオを聴く。どういうわけかモダンジャズのトリオしかやらないのはなぜだろうか。スネークドラムのシャリシャリとウッドベースの音は本当にすごいが、肝腎の中音はこれでは分からない。
スピーカーの主流は省スペースの縦長だ。さすがに音は良いが値段もヒトケタ違う。
ソニーがエラく頑張っている。昔なら手を出さなかったようなアクティブ・スピーカーのような“ゲテモノ”も出していて、それなりの価格とクオリディーで納得させる。
当面の買い物はUSBデジタル・オーディオ・コンバーターだ。手持ちはONKYOのSE-U55でさすがに古い。10年は経っている。店員のおすすめはKORGだ。再生ソフト「オーディオゲート」の会社だ。しかし値段は高い。5万円くらいする。むむっとためらった末、そのまま帰ってきた。
その足で古本屋に向かう。オモテの均一本を眺めて、中に入るとそこはかとなく古本の匂い。右回りで法律、経済、哲学、歴史と進んでいく。しかし根気も体力も好奇心も薄れているのが痛感される。
一冊だけ買った。松下芳男という人の「三大反戦運動史」という本だ。昭和48年の発行で初版本だ。多分初版で終わりの本だろうが。パラパラと読んだ印象では、なかなか面白そうだ。
遅めの昼飯を食べてから、紀伊國屋に向かう。
このあいだ買った本も読んでいないというのに、性懲りもなくまた買ってしまう。
ブルーバックスで上下二冊の「脳研究の最前線」という本。最前線と行っても2007年の発行だから最新ではない。私にはこれで十分だ。だが、果たして読むだろうか。
経済学のコーナーに回る。品揃えに驚いた。フリードマンが一冊、ハイエクが一冊、ネオリベ系の解説書が数冊、それだけだ。ネグリなど影も形もない。
書棚の半分はケインズだ。「ケインズは復活するか」みたいな感じ、その他に厚生経済やセンやロールズなどが並ぶ。次に多いのが「資本論」関連本。いろんな立場の人がそれなりに「資本論」を読み解いている。資本論そのものも3種類置かれていた。第3巻に注目したものもいくつか並んでいた。
他にはクルーグマンやスティグリッツなど。ピケティは未登場である。中山さん好みのウォーラーステインやポラニーもしっかり並んでいた。
学問の世界ではもはやネオリベはガラパゴス化しているようだ。
哲学のコーナーもかなり様変わりしている。とにかくヘーゲル・ブームだ。ざっと数えて10冊はヘーゲル本が並んでいる。一世風靡のウィトゲンシュタインやフランスのポストモダンの有象無象はすっかり影がうすい。一応はデリダ、ドゥルーズあたりが並んでいるが、フーコーや構造主義は見当たらない。哲学界もなにか大きな流れが襲っているようだ。
それならワロンも復活しないだろうかと思って心理学のコーナーに行ったが、さすがにない。代わりに、と言ってはなんだがヴィゴツキーがブームになっているようだ。ピアジェの対抗馬と目されているようで、そういう意味ではかつてのワロンと同じ扱いなのかもしれない。
一応、精力的なヴィゴツキー紹介者の柴田義松さんという人の書いた「ヴィゴツキー入門」という解説書を買ってみた。大体この手の本は買うときには一種の高揚感にとらわれるのだが、家に着く頃にはすっかりしぼんでいてそのまま本棚の肥やしになるのが通例である。ワロンやアドラーのときもそうだった。
各国関連の書棚も行ってみた。中国の毛沢東以前の共産党を系統的に書いた本がないかどうか探したのだが、やはり今のところはないようだ。しばらくは私の年表が一番の情報源ではないかと思う。
というわけで、買ったおもちゃと本を抱えて行きつけの喫茶店でパラパラとページを捲り、たばこを2,3本吸って駐車場に向かったのがすでに3時を過ぎていた。もはや膝に力が入らない。これが68歳だ。