頭頂葉症候群の症例報告があったので紹介しておく。

慈泉会相澤病院総合リハビリテーションセンターの発表した「頭頂葉皮質下出血による認知機能障害」患者の社会復帰の試みのケースレポートである。

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白いところが出血巣。まさにゲルストマン野そのものである。

神経生理学的特性

・計算時の困難

桁の繰り上げ・繰り下げができない。このため、二桁以上の計算が困難である。

・時間把握の困難

時計を見て時刻を読むことができない。

また作業において時間配分の理解ができない。

・言語課題での、とりわけ順序に関する困難50音の順番を想起できない。このため辞書が使用できない。

・文章題の読解力の低下

とりわけ文章の並び替え課題の困難

・断片的な口頭表出

話に筋道がなくなる。

漢字が書けない。

とくに漢字の構成(偏と旁とか、冠のことか)の課題における困難

など、総じて言えば、順番や配置・相互関係の理解の低下が顕著に見られた。

後期の症状

これらの症状は日を追うごとに改善し、配置転換の上で職場に復帰した。

職場では、比較的単純な作業にもかかわらず、以下の問題点が見られた。


主たる作業である「関連記事のスクラップ作業」にも時間を要する,

縮小・拡大のサイズ変更など、コピー機の複雑な使用方法で混乱,

郵送作業において金額計算の誤りや記入誤り,

作業の手順が異なると混乱を生じる


論文では心的イメージの想起障害というもう一つの障害が挙げられていたが、論文を見る限り実証されているとは言いがたい。

感想としては、失認が時間認識との関係で出現しているところに、この疾患の特徴があるということである。引っ詰めて言えば「時空間」の認識障害だ。

これは記銘力の障害とはちょっと異なるようだ。海馬を通して行う記銘ではなく、おそらく認識装置に内蔵された“メモリー”の不具合のように思われる。