メディカルウェアのサイトに「ZMapp」の項目がある。
ここがとりあえず日本語では一番詳しそうだ。
生産
1.マウスでの抗体作成
マウスにエボラウイルスの抗原を注射して抗体を作り、脾臓から抗体の製造元であるB細胞を採取する。
2.マウスのB細胞の蛋白をヒトのタンパク質に置き換える
マウス抗体をそのままヒトに使うとアレルギー反応が出る恐れがある。このため、ヒト抗体にする。
これは採取したマウスのB細胞の大部分を、ヒトのタンパク質に置き換える(ヒト化)ことで可能となる。
ヒト化抗体: 抗原に結合する先端の部分だけマウスの抗体を残して、残りはヒトの抗体に変えた抗体。66%を人の抗体に置き換えたものを「キメラ抗体」、90%を人の抗体に置き換えたものを「ヒト化抗体」という。 |
3.ヒト化B細胞を骨髄腫(ミエローマ)細胞に融合させる
B細胞は寿命が短く、数日で消費期限が切れる。このため、無限増殖する能力を持つ細胞と融合して長命化させる。
これはB細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ)を融合させたもの(ハイブリドーマ)を作ることで可能となる。
4.ハイブリドーマを煙草の葉を使って大量生産する
一般的な遺伝子組み換えによるモノクローナル抗体作成と同じである。Zマップの場合は、煙草の葉が利用される(理由は不明)。
ハイブリドーマをNicotiana benthamianaと呼ばれるタバコの一種に移植する。葉の細胞の遺伝子に組み込み、抗体のクローンを育成する。この手法はファーミング(農耕)と呼ばれる
たしかに難しそうだ。4段階のどれをとっても一筋縄ではいかないだろう。
それと患者数が少ないから、ビジネスとしては成り立ちにくい。
エボラ迎撃薬「ZMapp」
というページにはその辺りの背景が述べられている。なぜ治療薬の開発が遅れたか。
エボラ出血熱の患者数は、マラリアやガンなどの患者数に比べればごく僅かであり、治療薬を売ろうとする製薬会社などない。
Mapp Biopharmaceutical社は従業員が10人にも満たない中小企業である。マ社での開発が進んだのは軍の援助があったからだ。そこには国家安全保障上の理由がある。バイオテロリストがウィルスや細菌を利用して混乱を引き起こすことへの懸念である。
そこで、エボラ出血熱や天然痘などの治療薬を備蓄する必要性に迫られたからである。
slashdot より
ZMappは、現時点ではサル8匹を使った実験しか行われておらず、臨床試験はまだ行われていない。
実験では4匹のサルに感染から24時間後に実験薬を投与、ほかの4匹には感染から48時間後に投与したところ、8匹の生存率は100%だったとのこと。
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