衆目の一致するところ、株価は1万4千円が危機ラインだ。
株は、そもそも企業が設備投資のために株式市場から借り入れるための道具だ。
企業の設備投資の裏打ちがあっての高株価には意味がある。それがなければバブルだ。
第2四半期の設備投資は急減している。みんな「消費税は織り込み済み」と強気を装っているが、円安→インフレがそれに乗っかっている。賃金は低下傾向を脱していない。頼みの輸出も伸びない…、となれば後はマインド勝負でしかない。
そのマインドを支えているのが年金運用だ。年金は打ち出の小槌だからいくらでも突っ込める。そこで株価が1万5千円を切ると、口先介入してくる。
このへんの仕組みを赤旗が要領よく説明してくれている。佐久間亮記者の執筆だ。

1.年金運用の仕組み

年金積立金を運用するのは「年金積立金管理運用独立行政法人」という。長ったらしいので英語名の頭文字をとってGPIFと呼ばれる。
GPIFの運用額は130兆円で、世界最大の金融投資家と呼ばれる。
現在は運用額の約6割が国内債(国際と財投債)、残りを国内株、外国債、外国株に当てている。
2.GPIFが運用するようになった経緯
元々、年金積立金は厚生省が集め、大蔵省に運用が委託されていた。大蔵省はこれを財投債を購入するという形で財政投融資に回してきた。
これはアメリカも同じで、公的年j金はすべて財務省証券で運用している。
しかし日本では、2000年に大蔵省委託が廃止され、全面的な市場運用へ転換した。
佐久間記者によれば「信用力を持つ財投債から、元本割れの危険がある株式運用へと道が開かれた」ことになる。
3.GPIFの運用実績
ネットでの実績は、この記事では示されていない。問題は株式導入に伴うリスクの強まりである。
08年のリーマン・ショック時には18兆円の損失を計上している。130兆円の原資に対して14%の損失である。ほかにアジア通貨危機、ITバブル崩壊時にも巨額の損失を出している。
これは保険料引き上げや給付減となって、国民にしわ寄せされている。
4.年金資金の高株価維持への利用
世界最大の金融投資家がシテを勤めれば株価は安定するし、高値維持も可能となる。
アベノミクスはこれを利用し、株価の維持を図ろうとしている。それが、GPIF資金の株式運用比率の増大だ。
現在は国内株の運用比率は12%を基本としている。これを引き上げようというのだ。
やり方は二つある。
一つは運用幅の柔軟化である。12%を基本にプラマイ6%の運用幅が認められているが、これがそろそろ限界に達しつつある。現在の国内株の構成比は16.47%だから、あと1%ちょっとしかない。これでは株価急落時の手当はできない。
もう一つは基本比率そのものを引き上げる方法だ。そこで6月、GPIFの運用委員長が「国内株式の比率は20%でも高すぎない」とアドバルーンをあげた。
さらに今月の10日には、「GPIFが国内株式の保有上限を撤廃した」との報道(日経)が流れた。
5.安倍内閣の政治的利用
安倍内閣は明らかにこの変化を後押ししている。と言うより、阿部内閣そのものが推進役となっているようにみえる。
安部首相は当初年末としていた見直し時期を秋口に前倒しするよう指示した。これにより消費税10%や集団的自衛権関連法案を推進しようとする狙いだという。

人のカネ使って火遊びするとはとんでもない魂胆だ。
個人が401Kに投資するのは自己責任だが、政府は別だ。国家が博打に手を出してどうしようというのだ。
このままでは、いずれ年金はパアになる。なにせ我々が相手にしているのは名にし負う外国ファンドだ。勝てるわけがない。
株価が1万4千円を切れば、ヘッジファンドは一斉に売り浴びせる。円安のもとで7千円くらいまで下げるのは容易なことだ。リーマン・ショックで18兆円の損失、それを上回る損失が出る可能性は十分ある。