カイロには我が赤旗の小泉記者の他に、東京新聞も特派員を配置している。
こちらの見出しは「イラン、アバディ氏支持 イラク首相候補 マリキ氏見限りか」となっている。
イラン国営のアラビア語衛星テレビ・アルアラム(電子版)によると、イランのザリフ外相は、イラクのマスーム大統領が新首相候補に指名したアバディ氏に、「挙国一致政権」を早期に樹立するよう求めることで一致した。イランが事実上、アバディ 新首相の誕生を支持した形。マリキ首相からの政権交代が進む可能性が高まった。
…AFP通信によると、米国やフランス、トルコなど各国も相次いでアバディ氏の新政権樹立を歓迎する姿勢を表明。マリキ氏は三選を目指す構えを崩していないが、国際社会の退陣圧力が強まる中、権力の維持は難しい
…シーア派を偏重してきたマリキ氏に対するスンニ派勢力の反発は強い。さらに、シーア派からはスンニ派の過激派組織「イスラム国」の進攻を招いた責任を問う声も上がり、新政権が樹立できない状態が続いていた。バグダッド在住の政治評論家ハダド氏は…「イランは、隣国のイラクを不安定化させるマリキ氏よりは、アバディ氏を支持する方が得策だと判断したのだろう」と話している。
ただ、赤旗の小泉特派員は、そのことよりも、政権移行がスムーズには行かないだろうとの見方を強調している。
首都バグダッドには首相指揮下の軍精鋭部隊が展開するなど、不穏な動きも出ています。
さらに現在米軍が「イスラム国」に対する空爆を実施していることから、スンニ派も取り込んだ新政府づくりが順調に進むかどうかは不透明です。
東京新聞の記事はアル・アラムの記事とAFP電をつなぎあわせたもの。ひょっとすると小泉記者の方が、より現場に近い雰囲気を報じているのかもしれない。
WSJ はこれら二つよりはるかに詳しい。
1.イランが、イラク大統領がアバディ連邦議会副議長を新首相候補に指名したことに支持を表明した。
2.これはイラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長の言明である。
3.最も強力なシーア派武装勢力「アサイブ・アフル・ハック」を含む各政治グループは国民に冷静さを求め、その多くがアバディ氏の指名を歓迎した。
4.11日に治安部隊がバグダッドに展開した。各派は、マリキ氏が武力に訴えるのではないかとの懸念を高めた。
5.12日になって、マリキ首相は、政治的対立に関与しないよう治安部隊に命じた。
6.最近マリキにより解任されたゼバリ外相(クルド人)は、「彼が何を隠し持っているか分からない」と警戒する。
ということで、イランのアバディ支持は重要な分岐点ではあるが、決定的なポイントではないということのようだ。
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