イラク情勢が急速に動き出した。
結局、マリキ退陣と和解政府の樹立で収まることになりそうだ。
急変の最大の理由は、イランの方針転換。
シリアのアサド支援に始まった介入政策は、イランにとって一つもいいことはなかった。
結局、小手先の外交ではダメだということがようやく分かってきたのだろう。
イラン革命以来、イランの外交は大本では間違っていなかった。
反米・自主の基本は揺らぐことなく続けられている。イスラム原理主義を掲げつつも、(最低限ではあるが)節度は保たれていた。
ただ近隣外交では宗派問題に引きずられ、「敵の敵は味方」的な近視眼に陥りがちであった。
それが米軍撤退後の戦略を完全に読み間違えた。そしてシリア問題で決定的な齟齬をきたした。
シリアは泥沼化し、そのなかでアルカーイダが勢力を伸張し、イラクの抗争にも干渉するようになった。
決定的なのは、アメリカが空爆に乗り出したことだ。
マリキを支援し続ければイラクもまたシリア化する。そうなった場合イランは二正面を戦えるのか。とくにイラクの場合、アメリカは間違いなく制空権を掌握するだろう。
であれば今しかない。マリキを切り、スンニ派と妥協を図り、アルカーイダを孤立させる以外の道はない。そうしなければシリアも共倒れとなる。イランは中東の孤児となる。

問題はアバディが首相に就任した後だ。イラクをどうするかとか、シリアをどうするかというのでなく、中東地域でイランがどのような立ち位置をとり、どのような構えを示すのか、また核問題でどこまで立場を鮮明にするのか、そういう国家としてのグランド・デザインが問われることになるだろう。