プレトニョフという人は、映像で見る印象は非常に悪い人だ。
「ウクライナはロシアのものだ」と主張するかのように演奏する。
しかしこのワルトシュタインはすごい。どこからどこまで完璧だ。非の打ち所がない。間然としたところは一切ない。明らかなミスタッチや音の濁りやリズムのゆらぎは全くない。
アルゲリッチが「どうだ、速いだろう」とひけらかす技巧とはレベルが違う。
こういうワルトシュタインが本当のワルトシュタインかどうかはわからない。およそベートーベンを聞いている感じはしない。が、「文句あるか」と言われると引き下がらざるをえない。
この演奏を聞いてしまうと、他の演奏はどこかまがい物であるかのような気さえする。
しかしこの面白味の無さ、湧きだすとか紡ぎだすとかいう自発性の欠落、優しさとか懐かしさという情緒の欠如は何なのだろうか。