これまで原爆の平和宣言は、どちらかと言うと広島が歯切れがよくて、長崎がちょっと抽象的だった印象がある。
それが今年は逆転してしまった。
広島は後退し、長崎は前進した。
長崎の田上市長の宣言の一部を紹介する。

長崎は「ノーモア・ナガサキ」とともに、「ノーモア・ウォー」と叫び続けてきました。
日本国憲法に込められた「戦争をしない」という誓いは、被爆国日本の原点であるとともに、被爆地長崎の原点でもあります。
被爆者たちが自らの体験を語ることで伝え続けてきた、その平和の原点がいま揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が、急ぐ議論の中で生まれています。
日本政府にはこの不安と懸念の声に真摯に向き合い、耳を傾けることを強くもとめます。


これを臨席した安倍首相の面前で読み上げたのだから大したものだ。

とくに、憲法9条を「戦争をしないという誓い」なのだと読み込んだところは、そしてそれを「被爆地長崎の原点」と位置づけたところは、思わずグッと来る。

「急ぐ議論」はたしかに名文句だが、その前段が良いから生きてくる。