はじめに~静電気とは?

まず最初に二つの実験が示されるが、後者の実験には驚いた。

実験2

まずは、水道の蛇口を少しだけひねって水を垂らしておいてください。それから塩化ビニル棒と紙をこすり合わせます。

次にこの塩化ビニル棒を水平にして、蛇口から垂らした水流に近づけてみてください。さて今度はどうなるでしょうか?

水流が塩化ビニル棒に引き寄せられて曲がりました!

皆さん、知ってました? どう考えても、これは磁力じゃないですね。でも考えてみると、下敷きに紙が吸い寄せられるのも、本当に磁力なのだろうか。

つぎに静電気の定義

電荷の空間的移動がわずかであって、それによる磁界の効果が電界の効果に比べて無視できるような電気 (静電気ハンドブック)

しかし、これではよくわかりません。
というかさっぱりなので、簡単に言いかえてみましょう。
静電気とは「物体に電気がたまる現象、もしくはその電気のこと」です。

ウィキペディアでお馴染みの定義だ。わからないことも同じだ。しかしこのページではしっかりフォローしてくれるようだ。

第一回~ふたつの電気

電気は大きく二種類に分かれるのです。
ひとつは私たちが普段使用している『動く電気』です。これがなくては今の私たちの生活は成り立ちません。
これを動電気と呼びます。
もうひとつの電気はその場にとどまって動きません。これが『とどまる電気』、つまり静電気です。

さあ混乱してきた。動かない電気って、一体何なんだ。

第二回~帯電

原子はみんなプラスとマイナスの電気を持っており、その量は同じです。原子はこのふたつの電気のバランスが保たれる事で安定しています。

しかし、物と物が触れ合ったりこすれ合ったりすると安定が弱いマイナスの電気が片方からもう片方に移動します。このことを帯電といい、この帯電状態を静電気状態といいます。

原子が帯電した時に持つ電気の量を電荷といいます。

こすり合わせたりすると・・片方の電子が飛び出してもう片方にくっつく

それぞれ正、負に帯電する

第三回~静電気力

帯電したもの同士が近づくと引き寄せられるか反発する。そこには力が発生するわけだ。これは磁力ではない。

この力の源は帯電した原子にある。

このようにして電荷どうしの間にはたらく力のことを静電気力(クーロン力)といいます。
静電気が原因となって働く力だから、静電気力。

それはいいとして、それは磁力とどう違うのだろうか。

第四回~電気を通すもの、通さないもの

物体は接触したりこすり合わせたりすると帯電する。

しかし、全ての物体が簡単に帯電する訳ではありません。物体には帯電しやすいものとしづらいもの、電気を流しやすいものと流しづらいものとがあるんです。

金属はよく電気を通すのに、プラスチックの多くは電気を通しません。

電気をよく通すものを"導体"といいます。導体は電気が流れやすいので、帯電してもすぐに電気を逃がしてしまいます。

逆に電気を通しにくいものを"絶縁体""不導体"と言います。絶縁体は帯電したら電荷を維持する力が強いのです。

少しわかってきたぞ。静電気というのは電気といっても流れる電気じゃないんだ。電子のポテンシャル・エネルギーみたいなものだ。だから電気が流れることによって生じる磁力とは違うんだ。核エネルギーに近いような概念だな。

そういえば素粒子の勉強した時にもクーロン力というのが出てきたな。

第五回~静電誘導

はい、いよいよ今回は静電誘導を学びます。
前回までは基礎の基礎です。
五回、六回でようやく実際に起こる静電気のしくみがぼちぼち理解できてくると思います。
ではがんばっていきましょう。

そう言われると、とたんに疲れてきた。ガッツがないな。

静電誘導の定義は以下のとおり

帯電していない導体に帯電している物体が近づくと、導体の帯電している物体に近い側に帯電している物体と違う種類の電気が、遠い側に帯電している物体と同じ種類の電気がそれぞれ現われる現象

長い文章なので、分解する。

帯電していない導体というのは、要するに金属のことだ。帯電している物体というのは例えばエボナイトみたいなものだ。

つまり最初の部分はこすって帯電させたエボナイトを金属に近づけるとどうなるかということだ。

先程は帯電した物同士をくっつけたんだが、今度は導体が相手だからクーロン力は働かない。

しかし金属の内部ではそれに似たような反応が起きる。それが静電誘導という現象だ。

静電誘導というのは、エボナイトがマイナス荷電されていれば近い方にプラス荷電された原子が集まり、逆側にマイナス荷電された原子が集まるという現象だ。

これは帯電体同士がくっつくとか弾くというのとは違う。片方は積極的だが、片方は受け身だ。最初は好きでも嫌いでもないのに、相手の情熱についほだされてという愛の形だ。

これがアルミ箔がエボナイトに引き寄せられる現象の説明だ。

では紙のような不導体がエボナイトに引き寄せられるのはどうなのか。

静電誘導で電気が移動できるのは導体が電気を流すためであり、不導体に帯電体を近づけても電気が移動できません。

つまり形は似ていてもその機序は違うものなのだ。もう一つの愛の形、それは誘電分極と呼ばれる。

実は不導体であっても帯電体を近づけると物体の中の電気の位置がほんの少しだけずれるんです。

帯電体を近づけた不導体の中では、帯電体に近い側に帯電体と同じ種類の電気が、遠い側に同じ種類の電気がそれぞれ生じるのです。

なぜ、どうやって分極が生じるのかは、この文章では触れられていない。しかし、もうそれはどうでもよい。疲れた。

まとめると、帯電体同士の関係はクーロン力、帯電体とそうでないものとの関係は、物の内部での電気分布の受身的な変化、そのものが導体であれば静電誘導、不導体であれば誘電分極、ということになる。

それで、最初の実験の蛇口から出ている水だが、これは静電誘導の方だそうだ。

第六回~放電

静電気によって火花が起こる理由は放電が起きるからです。

まず「放電」の意味

放電というのは 帯電して静電気状態になった物体がその物体と逆の電気を帯びた物体と接触する時に電気が飛び散ることです

「帯電して静電気状態になった物体」というのは我々の体のことだ。

プラスの電気を帯びた人間の手が金属に近づくと、静電誘導によってその金属の表面にマイナスの電気が集まります。

人間の手のプラス電気は、金属に集まったマイナス電気と結合しようとします。その瞬間に放電が生じます。

バチッとなった瞬間は放電している状態で、すでに静電気ではなく電流になっています。

プラスとマイナスが引かれ合う

放電が発生する

ここまでで静電気の発生のしくみに関しての説明は終わりました。
これで大体のことはわかったと思います。

わかりましたか?