内角攻めはOKだが、巨人のバッテリーは明らかに当てるつもりで投げた。少なくとも当てるくらいのつもりで内角を攻めた。中軸打者二人が怪我をした。骨折でなくてよかったが、折れても不思議ない当て方だった。楊、中田は力が出しきれずに終わった(最後に1本打ったけど)。
それにもかかわらず、ファイターズは抗議もせず冷静にプレーした。報復もしなかった。かなり阿部には内角攻めしたが、武田勝のボールでは、当たっても蚊に刺されたようなものだ。
試合後のヒーローインタビューでも、沢村は「してやったり」という雰囲気で、済まないとか言うような気分はまったく感じられなかった。
加藤選手の危険球演技も、まったくいただけない。ベンチは「良くやった」と思っているのだろうか。
野球は、少なくとも日本のプロ野球はサッカーではない。サッカーでシミュレーションやればレッドカードだが、それはやる奴がいるからである。野球に罰則はない。誰もしないからである。
栗山監督の抗議は正当だったが、深追いはしなかった。何事もなかったように試合は続行された。結果は惨敗だった。
いまや巨人軍には、「勝つためには手段を選ばない」というナベツネイズムが、末端までしみこんでいる。殴ることなどなんとも思っていない。日本を代表するようなプロ野球選手であれば、ジェントルマンであるべきだ。
小久保選手の最後の試合で、胴上げに加わったファイターズとの違いは明らかだ。
「勝ちたい」気持ちは誰もが持っているが、それ以上に「いい試合をしたい」という意味ではみんな野球仲間だ。さらにファンともども、野球を愛し、発展させたいというのが最大公約数だろう。
野球を国民的スポーツとして発展させる意味で、日本プロ野球機構はフェアプレー賞を設けるべきだと思う。そしてファイターズにフェアプレー賞を授与すべきだろうと思う。誰かを罰するよりはるかにポジティブだ。
直後に長野に死球が当てられて、観客が拍手したといって非難するやつがいるようだが、はばかりながらファイターズ・ファンはそんなけちなことはしない。
加藤選手へのブーイングは、ファイターズ・ファンとしてではなく、野球選手の道を踏み外したことへのブーイングだ。巨人ファンもブーイングすべきものだ。
一言言うなら、「カニは自分の甲羅に似せて穴を掘る」ということだ。