病因診断一つあれば使い終わったはしごは不要というわけではない。
これによると、自然の認識は次に述べる三っの特徴的な段階を通って螺旋的に発展する.第一の段階は現象をありのままに記述する現象論的段階、第二は対象がいかなる構造にあるかを研究する実体論的段階、第三はそれがいかなる相互作用のもとにいかなる運動法則に従って運動しているかを明らかにする本質論的段階である。
私は昭和9年の卒業論文において、物理学の認識には、その発展において一っの重要な注目すべき段階がある。すなわち何がそこにあるか、いかなる構造になっているかということを知る段階を経て、これを踏み台にしなければならないという事である。原子核物学の当時の状態はまさにこのような段階にあり、素粒子の発見と原子核構造の解明の時期であり、矛盾はこの方向に吸収されることを指摘したのである.」「現代物理学と認識 論」(1946)